2011年5月20日

6/25 第5回日本カンボジア研究会、発表要旨(4)

個人発表(4)
「カンボジア南部一村落における社会階層構造とその動態」
野口博史(南山大学総合政策学部)

2008年8月にカンボジア西南部・コムポート州・オンコーチェイ郡・洪積平地周辺部に位置する純クメール稲作農村たる一村落において実施された全戸社会経済調査をもとに、社会構造の階層性と多元性を分析し、また、資産・収入・学歴・文化・地位・影響力という6つの次元から社会階層構造を析出し、またこれら社会階層クラスターの年齢コホート別の分布を検討した。
この結果、同村落の社会構造は階級社会の特徴を一切欠き、経済・学歴・政治等の独立性が高い多元社会であること、また、その階層構造は上層一貫階層を欠き、中層非一貫階層が世帯の75%、下層一貫階層が同じく25%を占めていることが明らかになった。加えて、社会階層構造は流動性が高く、その動態は「蓄積」「相殺」仮説より「世代循環」によって特徴付けられることが判明した。これらの結果は、ジニ係数が0.6に及ぶという、収入における不平等度が高い一方で、社会構造上は相対的安定性が高いものと評価でき、同村落の地理・社会経済的代表性から、カンボジア農村社会全体にある程度当てはまる事象と推測することが可能である。