2017年5月22日

6/24-25 第11回日本カンボジア研究会プログラム

日本カンボジア研究会では、本年度の研究集会を以下の要領でおこないます。カンボジアに関わる話題を広く取り上げて議論するまたとない機会です。昨年は京都で実施しましたが、今年は(一昨年と同じく)東京で行います。

ご多忙とは存じますが、皆さまぜひご参加ください。初日と2日目の午前は基本的に日本語、2日目の午後は英語を使用いたします。

事前の参加登録は必要ありません。また、転送・拡散を大歓迎いたします。

<日時と場所>
6月24日(土)
早稲田大学戸山キャンパス 33号館2階 231教室

6月25日(日)
早稲田大学戸山キャンパス 39号館5階 第5会議室
(日曜日は門が閉まっているため、守衛の方に「カンボジア研究会参加」と声をかけてから入構してください。)

<プログラム>
6月24日(土)

12:00 開場

13:00-13:15 趣旨説明 小林知(京都大学)

13:15-13:55 発表(1)
井上航(国立民族学博物館外来研究員)
「親密さと遊びと竹―カンボジア北東部山地民村落の竹筒打奏・竹筒飯から」
発表要旨は、こちら

13:55-14:35 発表(2)
北川香子(学習院大学・青山学院大学・明治大学非常勤講師)
「マリカ王女の戦い方―ユカントール事件の後に」
発表要旨は、こちら

14:35-15:15 発表(3)
石橋弘之(早稲田大学人間総合研究センター)
「カンボジアの森をめぐる移動と交流―カルダモン山脈と中央平野部の地域間関係史」
発表要旨は、こちら

15:15-15:30 休憩

15:30-16:10 発表(4)
笹川秀夫(立命館アジア太平洋大学)
「近代仏教の時代のすれちがい:戦前、戦中の日本で刊行された仏教雑誌、仏教関連書籍にみるカンボジア関連記事」
発表要旨は、こちら

16:10-16:50 発表(5)
大坪加奈子(九州大学大学院人間環境学研究院)
「僧令にみるカンボジアのサンガの変遷」
発表要旨は、こちら

16:50-17:30 発表(6)
川口正樹(外務省南東アジア第一課)
「1979年~1989年のカンボジア情勢(フン・セン首相の著作に基づいて)」
発表要旨は、こちら

17:30-17:40 休憩

17:40-18:30 ディスカッション 「2017年コミューン選挙について」(登壇者は調整中)

6月25日(日)

10:00 開場

10:30-11:10 発表(7)
上村未来(上智大学アジア文化研究所)
「カンボジアNGO法制定プロセスにおけるNGOの政治的機能―2008~2015年の動きを中心に」
発表要旨は、こちら

11:10-11:50 発表(8)
木口由香(メコン・ウォッチ)
「メコン河流域でのダム開発の現状とカンボジアへの影響」
発表要旨は、こちら

11:50-13:20  昼食

13:20-14:00 発表(9)
Mr. Chou Phanith, Graduate School of International Development, Nagoya University
“Uncovering the Hidden Economic Value of Non-timber Forest Products from Poverty Alleviation Perspective: Evidence from Phnom Prich Wildlife Sanctuary, Mondulkiri, Cambodia”
発表要旨は、こちら

14:00-14:40 発表(10)
Dr. Thath Rido, Faculty of Economics, Meiji Gakuin University
“An Overview of Microfinance in Cambodia”
発表要旨は、こちら

14:40-15:20 発表(11)
Dr. Samreth Sovannroeun, Graduate School of Humanity and Social Science, Saitama University
“Findings from a Preliminary Survey of Poor Households in Rural Cambodia: A Case of a Commune in Prey Veng Province”
発表要旨は、こちら

6/24-25 Program of the 11th Annual Conference of the Japanese Society for Cambodian Studies

This is to inform you the 11th annual conference of the JACS, which will be held at Waseda University on June 24-25, 2017. The meeting is opened to all researchers, students and the public who are interested in Cambodia.

We would use mainly Japanese during the sessions on the first day and the morning of second day, but English at the afternoon sessions of the second day.

Pre-registration is not required. We will be waiting for your participation!

Date
June 24-25, 2017

Venue
June 24, 2017 (Saturday), at Room No. 231, 2nd floor of Building No. 33, Toyama Campus, Waseda University
June 25, 2017 (Sunday), at Room No. 5, 5th floor of Building No. 39, Toyama Campus, Waseda University
(The gate of the Campus is closed on Sunday. Please inform gatekeepers there your participation to the conference of the JACS.)

Program

June 24, 2017 (Saturday)

12:00 Open

13:00-13:15 Opening Remarks by Dr. KOBAYASHI Satoru, Kyoto Unviersity

13:15-13:55 Presentation (1)
Dr. INOUE Ko, visiting researcher, National Museum of Ethnology
“Intimacy, play and bamboos: bamboo percussion and bamboo-tube rice cooking in the indigenous people of northeastern Cambodia”
->Click here for Abstract (in Japanese)

13:55-14:35 Presentation (2)
Dr. KITAGAWA Takako, lecturer of Gakushuin University, Aoyamagakuin University and Meiji University
“Struggle of Princess Malika after l'Affaire Yukanthor”
->Click here for Abstract (in Japanese)

14:35-15:15 Presentation (3)
Dr. ISHIBASHI Hiroyuki, Advanced Research Center for Human Sciences, Waseda University
“On the move and interaction over forest: Historical relationships between the Cardamom Mountains and the Central Plains in Cambodia”
->Click here for Abstract (in Japanese)

15:15-15:30 Break

15:30-16:10 Presentation (4)
Dr. SASAGAWA Hideo, College of Asia Pacific Studies, Ritsumeikan Asia Pacific University
“Miscommunication in the Era of Modern Buddhism: How was Cambodia Narrated in Japanese Buddhist Magazines and Books Published before and during WWII?”
->Click here for Abstract (in Japanese)

16:10-16:50 Presentation (5)
Ms. OTSUBO Kanako, Graduate School of Human-environment Studies, Kyushu University
“Cambodian Sangha and its Vicissitudes through an Analysis of Sang Prokas”
->Click here for Abstract (in Japanese)

16:50-17:30 Presentation (6)
Mr. KAWAGUCHI Masaki, Asian and Oceanian Affairs Bureau, Ministry of Foreign Affairs of Japan
“The Situation of Cambodia from 1979 to 1989 (Based on the Book of Prime Minister Samdech Hun Sen)”
->Click here for Abstract (in Japanese)

17:30-17:40 Break

17:40-18:30 Roundtable Discussion on “The Firsthand Analysis of 2017 Commune Election”

June 25, 2017 (Sunday)

10:00 Open

10:30-11:10 Presentation (7)
Ms. KAMIMURA Miku, Institute of Asian, African, and Middle Eastern Studies, Sophia University
“The Political Function of NGOs in the Process of Making NGO Law in Cambodia: Focused on the Period between 2008 to 2015”
->Click here for Abstract (in Japanese)

11:10-11:50 Presentation (8)
Ms. KIGUCHI Yuka, Mekong Watch
“Current Dam Development in the Mekong Region and its Impact on Cambodia”
->Click here for Abstract (in Japanese)

11:50-13:20 Lunch

13:20-14:00 Presentation (9)
Mr. Chou Phanith, Graduate School of International Development, Nagoya University
“Uncovering the Hidden Economic Value of Non-timber Forest Products from Poverty Alleviation Perspective: Evidence from Phnom Prich Wildlife Sanctuary, Cambodia”
->Click here for Abstract (in English)

14:00-14:40 Presentation (10)
Dr. Thath Rido, Faculty of Economics, Meiji Gakuin University
“An Overview of Microfinance in Cambodia”
->Click here for Abstract (in English)

14:40-15:20 Presentation (11)
Dr. Samreth Sovannroeun, Graduate School of Humanity and Social Science, Saitama University
“Findings from a Preliminary Survey of Poor Households in Rural Cambodia: A Case of a Commune in Prey Veng Province”
->Click here for Abstract (in English)

6/24 Abstract 1

井上航
「親密さと遊びと竹―カンボジア北東部山地民村落の竹筒打奏・竹筒飯から」

 発表者は2011年度から2015年度にかけて、カンボジア北東部ラタナキリ州のクルン人の一村落にて、博士論文のためのフィールドワークを行った。民族音楽学という専門領域になるが、住み込み、参与観察、民族誌という研究方法で臨んでいる。本発表は、陸稲の収穫にともなう祭祀で大勢の人が畑に集まったときに見られる竹筒打奏と竹筒飯をとりあげる。竹筒打奏は、ほとんど加工しない竹筒(節間70cm程度)の両端で手による打音を出し、竹筒に共鳴させて楽しむものである。竹筒飯は、節間にもち米を入れて炊き、竹皮をむいて円筒形を保っている飯をバナナのようにほおばるものである(クメールの郷土食にも似たものがある)。いずれも、発表者の調査地では上記の祭祀の「風物詩」的なものだが、常に見られるわけではなく、その場の気分次第というところがある。
 多くの竹にふれる竹筒飯づくりの作業があった場では竹筒打奏もよく見られることに注目し、場の出来事のなかで両者をつなぐものは何かを考える。竹と人、人と人の関係にみる親密さ、ノンヴァーバルな感性的経験などを論点として、それらの理解や記述の問題も展望したい。

6/24 Abstract 2

北川香子
「マリカ王女の戦い方-ユカントール事件の後に」

 マリカ王女(1872~1951年)はノロドム王の王女であり、同じくノロドム王の子で、フランスの植民地支配に抗議して失脚したユカントール王子の妃でもある。マリカ王女の娘たち、ピンピエン王女とペンポ王女は、独立後のカンボジア王国で要職をつとめた。マリカ王女自身も、古典文学『コーキー物語』や歴史教科書の編纂、マリカ女学校の創設などの業績が知られている。しかしながら、Justin CorfieldとLaura SummersによるHistorical Dictionary of Cambodia(2003年)にマリカ王女の項目はなく、管見の限りではあるが、マリカ王女を中心的に取り上げた研究もない。彼女については、ユカントール事件に関する記述や、カンボジア文学史、教育史の周辺に名前が出てくる程度の情報しか得られない。その背景には、植民地期のカンボジアに関する歴史研究自体が手薄で、女性であるマリカ王女にはなかなか視線が向けられない、という事情があるであろう。プノム・ペンの国立公文書館には、ユカントール王子の亡命後、カンボジア国内に残ったマリカ王女が、子どもたちを育てていくための財源を確保するために、フランス植民地当局や閣僚評議会、カンボジア王と取り交わした相当量の書簡類が収められている。本報告では現時点におけるこれらの文書類の分析結果から、いままで全く光が当てられてこなかった、植民地期カンボジア社会史の一側面を呈示したい。

6/24 Abstract 3

石橋弘之
「カンボジアの森をめぐる移動と交流―カルダモン山脈と中央平野部の地域間関係史」

 21世紀初頭のカンボジアは、内戦と政変からの復興と再生の時代から、内戦後の開発の時代へと移行し、市場経済化が進められてきた。開発が政治経済の中心地にある中央部から国境の山岳森林地域へと及び、人と自然の関係が急変するなか、現在の変化を、双方の地域の関係の歴史から理解しようとする議論が展開されている。
 しかし、国家の担い手とされてきた多数派民族クメールが主に住む中央部の研究と、国家の周縁にあるとされてきた少数民族が住む山岳森林地域の研究は別々に進められてきた傾向があり、双方の地域の関係は、中心と周縁の二項対立や政治的対立に還元されてきた。
 本報告は、カンボジア西方にありタイと国境を接するカルダモン山脈を対象に、山岳森林地域に暮らしてきた人々が、近代から現代の歴史をいかに生きてきたのかを、中央部を対象とした研究も参照して明らかにすることを目指す。具体的には、カルダモン山脈の森をめぐり人々が地域間を移動し交流してきた歴史を、交易品カルダモンの産地の形成、内戦下で森の中に逃げた人々の避難生活を経た生活再建、そして内戦終息後の市場経済化、国家制度の浸透、自然環境の急変への人々の対応の動きから提示する。

6/24 Abstract 4

笹川秀夫
「近代仏教の時代のすれちがい:戦前、戦中の日本で刊行された仏教雑誌、仏教関連書籍にみるカンボジア関連記事」

 本報告では、第二次世界大戦前から戦時中の日本で刊行された仏教雑誌の記事と、東南アジアの仏教を扱う書籍を対象に、カンボジアがどのように語られたか、あるいは語りえなかったかを検討する。まず、20世紀初頭からのカンボジア仏教界にみられた変化や改革を概観し、日本と同様にカンボジアも近代仏教と呼びうる時代を迎えていたことを把握する。つづいて、戦前の仏教雑誌に掲載されたカンボジア関連の記事を検討し、フランスの学術界とつながりを持っていた人物が、プノンペンの王立図書館や仏教研究所における活動を把握していたことを確認する。さらに、戦時下の日本で刊行された雑誌や書籍の分析から、記事の内容がアンコール遺跡に極端に偏重し、同時代のカンボジアに対する興味を失ったことを指摘し、日本とカンボジアの仏教界が交流や対話を成し遂げられなかったという問題を検討したい。

6/24 Abstract 5

大坪加奈子
「僧令にみるカンボジアのサンガの変遷」

 上座仏教社会を対象とした先行研究において、「世俗的秩序」とサンガ(僧団)によって構成される「仏教的秩序」は不可分の関係にあることが指摘されてきた。そして、世俗権力がサンガの保護と浄化を行い、サンガが世俗権力の支配の正統性を保証するという相互依存関係があるとされる。本報告では、カンボジアにおける世俗権力とサンガの具体的な関係性を検討するため、全国幹部僧侶年次会議資料と僧令に着目する。サンガが新たな形で再生したポル・ポト政権崩壊後のカンボジア仏教に焦点を当て、全国幹部僧侶年次会議資料と僧令を検証することで、サンガ上層部の意図、サンガを取り巻く制度や状況の歴史的変遷について明らかにする。なお、本報告のための調査は「ポル・ポト政権後のカンボジアにおける政教関係の解明」(JSPS科研費 JP16H07035)によるものである。1980年代の文献資料については引き続き収集する必要があり、今回の発表は中間報告となる。そのため、今後の研究推進に向けてのご意見やコメントを賜わる場としたい。