「中国中心型アグリフード・システムにおける不均等発展
―カンボジア・バナナ輸出産業のガバナンスと価値分配―」
“Uneven Development in China-Centered
agri-food system: Governance and Value Distribution in Cambodia’s Banana Export
Industry”
(発表要旨)
本研究は、グローバル生産ネットワークの視点から、中国中心型アグリフード・システムへの統合がカンボジアのバナナ輸出産業に与えた影響を考察するものである。近年、中国における生鮮果物需要の拡大を背景として、東南アジア大陸部は中国向け果物供給地域として急速に再編されつつある。Pritchardらは東南アジア四カ国と中国の生鮮果物貿易を分析し、中間業者主導の柔軟なガバナンス構造を指摘した。しかし、後発経済国であるカンボジアにおけるネットワーク形成と価値分配構造については十分に検討されていない。本研究では、中国系アグリビジネス企業およびプランテーション労働者へのインタビュー、参与観察などのフィールドワークを実施した。その結果、中国系企業がリード企業として越境的な生産・流通を主導し、Economic Land Concessionや一帯一路構想、業界団体などを通じて地域資産との戦略的結合を形成していることが明らかとなった。一方で、付加価値は中国側の流通・小売部門に集中しており、中国中心型アグリフード・システムへの統合は輸出拡大を促進する一方で、不均等発展を生じることが示された。