市河里菜(ICHIKAWA, Rina)上智大学・大学院生
「カンボジアにおける障害観と『新しい障害』—人々の障害認識を形成してきた『近代化』—」
“Disability Perceptions and ‘New
Disabilities’ in Cambodia: ‘Modernization’ Shaping People's Perceptions of
Disability”
(発表要旨)
本発表では、文献調査と2025年3-4月と7月に計1か月半プノンペンとシェムリアップで行ったフィールドワークのデータをもとに、カンボジアにおける人々の障害認識を形成してきたと歴史的要因を分析したうえで、Autismなど「新しい障害」に関する認識を明らかにする。仏教国であるカンボジアは、障害者差別の問題が仏教の「カルマ」の考え方と結びつけられてこれまでの研究で指摘されてきた。しかし、その前提となる障害を「悪いもの」とした考えは、フランス保護国時代における統治と管理のための近代医療と近代体育教育の導入と深く関係している。また、内戦終結以降、国際協力や国際社会の介入の中でカンボジア国内に定着した「能力主義的」教育制度は、カンボジア社会の中で新しい障害を生み出している。立場や世代によって認識の道筋が異なるとは言え、人々の語りからも「新しい障害」に対する認識と、その症状に理由を求める様子がみられた。