2026年7月7日

ポスター発表要旨(2)

 伊藤恒輝・小沢志生・三輪純正(ITO, Koki; OZAWA, Shio; MIWA, Junsei)成城高等学校

「シェムリアップ州における農民の実態調査」
“Survey of the realities of farmers in Siem Reap Province”

(発表要旨)
 本研究では、カンボジアの農家へのインタビューを通じて、農家・労働者のミクロな視点から、現代カンボジアが抱える構造的問題を可視化する。具体的には、2025年8月に、トンレサップ湖北東部の農家、アンクロン市場周辺の農家、およびアンコールマーケット直営農場の農家、計12名に対して半構造化インタビューを実施し、生計戦略、農業技術の受容、社会意識に関するデータを収集した。分析の結果、若者の都市流出に伴う労働力不足、コメ単一栽培の脆弱性、世代間の学歴格差といった共通課題が浮き彫りとなった。これらの課題の背景には、知識層の喪失やインフラの解体といったポル・ポト政権期に由来する構造的影響が存在する一方で、それらの受容や対応のあり方には、地域や経営形態による差異も見られた。本研究の結果は、過去の政治的負債が現代の社会変容や農業開発のボトルネックとなっている実態を明らかにし、東南アジア地域研究に新たな知見を提示するものである。