2024年6月8日

第18回 日本カンボジア研究会 プログラム

第18回日本カンボジア研究会のプログラムをお知らせ致します。

今年度も対面とオンラインのハイブリッド形式で実施いたします。

カンボジアに関わる話題を広く取り上げて議論する機会として,皆さまのご参加をお待ちしております。

オンライン参加については,事前に参加登録をお願いすることになります。追って,参加登録のご連絡させていただきますので,よろしくお願いいたします。

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期日:2024年7月13日(土)・14日(日)

開催形態:対面兼オンライン

開催場所:名古屋大学東山キャンパス アジア法交流館2階・カンファレンスルーム(愛知県名古屋市千種区不老町)※ 会場アクセスについて後日情報を掲載します。


主催:日本カンボジア研究会

共催:名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)


7月13日(土)

12:00 開場

12:30~12:40 趣旨説明【対面】


12:40~13:30 発表(1)【オンライン】

横山未来(YOKOYAMA Miku)早稲田大学

福田莉紗(FUKUDA Risa)早稲田大学

「カンボジア考古学の教育普及―子ども向けワークショップの実践と課題」

“Educational Diffusion of Archaeology in Cambodia: Practices and Challenges of Children's Workshops”

発表要旨は、こちら


13:40~14:30 発表(2)【対面またはオンライン】

東佳史(AZUMA Yoshifumi)立命館大学

「「面従腹背」から「無気力」へ?―2022-3年カンボジア選挙結果分析」

“ 'False Obedience' or Apathy: Some Statistical Data Analyses on the 2022 and 2023 Elections”

発表要旨は、こちら


14:40~15:30 発表(3)【オンライン】

山田裕史(YAMADA Hiroshi)新潟国際情報大学

「強化されるフン・セン体制―2023年カンボジア総選挙と世襲内閣の誕生」

“The Strengthening of Hun Sen's Rule: Cambodia's 2023 National Assembly Elections and the Birth of the Hereditary Regime”

発表要旨は、こちら


15:40~16:30 発表(4)【オンライン】

イェン・チョリダー(EAN Chhorida)王立法経済大学

「カンボジアにおける裁判外紛争解決国家機構―新しい法律専門職業への導入」

“Alternative Dispute Resolution Authority in Cambodia: An Attempt to a New Legal Profession”

発表要旨は、こちら


16:40~17:10 発表(5)【対面】

<高校生によるグループ発表> 

西川公一朗(NISHIKAWA Koichiro)、佐藤遼太郎(SATO Ryotaro)成城高等学校

「カンボジア農村部におけるダンプヤード撤去は可能か?」

“Is it Possible to Abolish Dump Yards in Rural Cambodia?”

発表要旨は、こちら


17:20~18:10 発表(6)【対面】

宮島良子(MIYAJIMA Ryoko)名古屋経済大学

レイン幸代(LENG Yukiyo)国際交流基金 海外派遣日本語専門家

「クメール語による議論的作文の特徴」

“Characteristics of Argumentative Composition in Khmer”

発表要旨は、こちら


●懇親会(希望者のみ)


7月14日(日)

9:30 開場

10:00~10:50 発表(1)【対面】

北川香子(KITAGAWA Takako)学習院女子大学

「チ・ハエ興隆史」

“Rise of Chi Haer, a Chinese Village on the Mekong”

発表要旨は、こちら


11:00~11:50 発表(2)【対面】

宮沢千尋(MIYAZAWA Chihiro)南山大学

「アジア・太平洋戦争期の日本のカンボジア関与の一側面―大川塾卒業生西川寛生の日記から」

“One Aspect of Japan's Involvement in Cambodia during the Asia-Pacific War Period: From the Diary of Hiroo Nishikawa, “Okawa Juku” Graduate”

発表要旨は、こちら


11:50~13:00 昼休憩


13:00~13:50 発表(3)【対面】

ジア・シュウマイ(CHEA Seavmey)国土整備・都市計画・建設省

「アンコール遺跡のゾーン1とゾーン2における不法居住者の問題」

“The Study on Land Occupancy Issues in Angkor Site Zone 1 and Zone 2”

発表要旨は、こちら


14:00~14:50 発表(4)【オンライン】

CHIM Vutheavy, National Institute of Education

SOEUNG Sopha, National Institute of Education

“Cambodian Students' Kindergarten Experience towards Khmer Subject at the Private International Schools”

発表要旨は、こちら


15:00~15:50 発表(5)【対面】

劉澤文(LIU Zewen)下関市立大学

「カンボジアにおける中国企業による商業農産物の栽培と輸出―クロチェヘ州における大規模バナナ農園の事例から」

“Commercial Agricultural Production and Export by Chinese Companies in Cambodia: A Case Study of Large-Scale Banana Plantation in Kratie Province”

発表要旨は、こちら


16:00~16:50 発表(6)【対面またはオンライン】

吉田尚史(YOSHIDA Naofumi)早稲田大学/東京都福祉局

「在留カンボジア人労働者の健康課題とその実情―「技能実習」「特定技能」を対象として」

“Cambodian Workers' Health Issues and their Actual Conditions in Japan: Targeting“Technical Intern Training”and“Specified Skilled Worker”

発表要旨は、こちら

発表要旨(1)

横山未来(YOKOYAMA Miku)早稲田大学

福田莉紗(FUKUDA Risa)早稲田大学

「カンボジア考古学の教育普及―子ども向けワークショップの実践と課題」

“Educational Diffusion of Archaeology in Cambodia: Practices and Challenges of Children's Workshops”

(発表要旨)

 本発表は、考古学の教育普及活動の一環として、カンボジアをテーマに行った子ども向けイベントについての報告と今後の課題に関する検討を行うことを目的とする。発表者らは、考古学専攻の大学院生としての専門性および教育コンサルティングで培ったノウハウを活かした考古学の教育普及を行う任意団体を立ち上げ、子どもたちを対象に考古学の魅力と学際性を伝える活動を展開している。今回は2023年1月13日に実施した「VRで古代のカンボジアにタイムスリップ!」というイベントを中心に、考古学や文化遺産教育から広がる多様な学びの可能性について紹介する。ならびに、アンケートから見えてきた今後の国内における外国考古学の研究成果の還元や将来的な現地での教育普及活動の課題について検討する。


発表要旨(2)

 東佳史(AZUMA Yoshifumi)立命館大学

「「面従腹背」から「無気力」へ?―2022-3年カンボジア選挙結果分析」

“ 'False Obedience' or Apathy: Some Statistical Data Analyses on the 2022 and 2023 Elections”

(発表要旨)

 本発表は2018年第100回東南アジア学会にて発表した「抵抗」と「面従腹背」の間 ; 2018年カンボジア総選挙結果分析」の続編である。2023年7月23日に行われたカンボジア総選挙は最大野党であるキャンドルライト(CLP)党が参加資格剥奪という既視感のある中、有権者投票行動が注目された。中央・地方幹部逮捕を恐れたCLPはなすすべもない中、与党人民党は2018年の総選挙で見られたような威圧で応じ、与党の勝利が既定路線となった上で高い投票率を確保して選挙の正統性を担保する必要もなしに選挙はただの儀式と変容した。

 以上の構造的変化の下、総選挙は実施され、投票率は2018年総選挙の80.32%から78.28%に微減した。そして、CLPが参加できた2022年クム・ソンカット長選挙の80.32%からも減少している。これは約2割の有権者が棄権という「抵抗」を示したとも、無気力とも理解できよう。興味あるのは無効票の増加であり2018年の8.55%から5.34%と減少している。これは2018年では棄権が発覚する事による「嫌がらせ」を恐れた有権者の「面従腹背」すら不可能となった。2022年と2023年選挙結果を統計学的に分析すると2022年にCLPが得票した州での2023年選挙無効票の推移は興味ある結果が見られた。本発表ではNECの公表データとComfrel、NDE、EU等のオープンソースを統計学的分析を基に、2018年に見られた「面従腹背」すらも困難になった現状を検証する。

発表要旨(3)

 山田裕史(YAMADA Hiroshi)新潟国際情報大学

「強化されるフン・セン体制―2023年カンボジア総選挙と世襲内閣の誕生」

“The Strengthening of Hun Sen's Rule: Cambodia's 2023 National Assembly Elections and the Birth of the Hereditary Regime”

(発表要旨)

 与党・カンボジア人民党の圧勝に終わった2023年総選挙の直後、フン・セン首相は辞任を決断し、フン・マナエト首相を筆頭に人民党高級幹部の子どもたちを中心とする「世襲内閣」が発足した。なぜフン・センは大方の予想に反して早期の世襲に動いたのか。大幅に進んだ閣僚の世代交代はカンボジア政治においてどのような意味をもつのか。

 本報告は、アジア経済研究所において2023年5~10月に実施された機動研究プロジェクト「2023年カンボジア総選挙―ポスト・フン・セン時代に向けた集団的権力継承」と、2024年2月の上院選挙に関する現地調査の結果に基づき、上記の問いについて検討する。具体的には、2023年総選挙とその後の新内閣を中心とする国家機関および人民党指導部の人事の分析を行う。結論として、閣僚ポストが子世代に移譲されたことでフン・セン「政権」は終わったものの、フン・セン「体制」はこれまでよりも強化された形で続いていることを指摘する。


発表要旨(4)

 イェン・チョリダー(EAN Chhorida)王立法経済大学

(発表要旨)

「カンボジアにおける裁判外紛争解決国家機構―新しい法律専門職業への導入」

“Alternative Dispute Resolution Authority in Cambodia: An Attempt to a New Legal Profession”

 カンボジアでは裁判外紛争解決として、労働仲裁と商事仲裁という二つの分野を中心に処理している組織が存在する。労働仲裁は、共同労働紛争を対象にして処理しているが、商事仲裁は商事紛争を対象にしている。しかし、現在までは特に民事紛争全体を対象にして処理している正式的な組織はなかった。それで、司法省は各裁判所で特に問題になっているケース・オバーロードを解決する一つの措置として、裁判外紛争解決国家機構(National Authority of Alternative Dispute Resolutions:NAADR)を提案し、2023年11月2日に勅令で設立した。NAADRの目的は、①各裁判所において溜まっている事件数を減す、②紛争解決サービスを地域住民に近づける、③社会の調和と正義を確保するためだと当該勅令第1条で宣言している。しかし、NAADRの設立は各裁判所のケース・オバーロードの解決にどう繋がるのか?その調停職員は、だれなのか?この発表はNAADRについて紹介し、それに関わる法的な問題やその課題について議論する。


発表要旨(5)

<高校生によるグループ発表> 

西川公一朗(NISHIKAWA Koichiro)、佐藤遼太郎(SATO Ryotaro)成城高等学校

「カンボジア農村部におけるダンプヤード撤去は可能か?」

“Is it Possible to Abolish Dump Yards in Rural Cambodia?”

(発表要旨)

 カンボジア王国シェムリアップ州では、環境への負荷が懸念されているにもかかわらず、未だ撤去されていないダンプヤードが存在する。また、そこにはダンプヤードでゴミを拾い生計を立てているウェイスト・ピッカーが存在する。そこで、私たちはカンボジア農村部のダンプヤード撤去の可能性を明らかにするため「ウェイスト・ピッカーの雇用創出また、ダンプヤードに代わる焼却炉などの処理施設導入が撤去を可能にする」という仮説を立て、ウェイスト・ピッカーの経済状況、他業種転向支援の実態、処理施設導入の可能性を解明するために聞き取り調査(同州アンルンピー村のダンプヤードで働くウェストピッカー、バナナペーパー工房で働くウェイストピッカーが対象)を行った。その結果、元ウェイスト・ピッカーの雇用先で安定した収入が得られ、このような条件の雇用創出が撤廃に有効であるとわかった一方で、資金・技術不足により焼却炉導入が実現できていないという現状が判明した。

発表要旨(6)

宮島良子(MIYAJIMA Ryoko)名古屋経済大学

レイン幸代(LENG Yukiyo)国際交流基金 海外派遣日本語専門家

「クメール語による議論的作文の特徴」

“Characteristics of Argumentative Composition in Khmer”

(発表要旨)

 本発表は、カンボジア人が中等教育までにどのような作文(意見文)の「型」を身につけて大学に入学しているのかを明らかにしたものである。調査は3種実施した。まず1つ目は、カンボジアの高校でどのようなクメール語作文の教育がなされているのかの資料調査である。2つ目は、社会科学系の学部に所属するカンボジア人大学1年生に対して、実施した作文(議論的作文)調査である。そして、3つ目は、日本語で法学を学び、日本留学経験のあるカンボジア人に実施したインタビュー調査である。これらの調査によって、カンボジアでは「議論的作文」という形で意見文に類似したものを書く指導がなされていることが判明した。そして収集した作文及びインタビュー調査からは、大学入学までに作文の一定の「型」を身につけていること、日本の「私見」とは異なる「カンボジア的私見」が重視されていることが判明した。