2026年7月7日

発表要旨(6)

川口智恵(KAWAGUCHI, Chigumi)東洋学園大学

UNTACを通じたリベラル平和構築の再検討カンボジア人ナショナル・スタッフの語りから
“Reassessing Liberal Peacebuilding through UNTAC: Narratives of Cambodian National Staff”

(発表要旨)
 
本研究は、1990年代初頭にカンボジアで活動した国連平和維持活動(PKO)である国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)における雇用経験が、カンボジア人ナショナル・スタッフにどのような影響を与え、その経験が後年の語りや人生にどのように位置づけられているのかを検討する。2023年から2026年にかけて実施した半構造化インタビューの質的分析をもとに、民主主義、人権、中立性、法の支配といったリベラル平和構築に関わる価値観が、どのように受容され、再解釈されているのかを考察する。
 リベラル平和構築研究では、ローカル・エリートや草の根主体による抵抗や交渉に焦点が当てられることが多い。他方、本研究では、国際介入の現場に組み込まれたナショナル・スタッフの経験と語りに注目する。UNTAC経験を持つ人々の語りを通じて、リベラル平和構築の遺産やその複雑性について再検討を試みる。本発表は、UNTACナショナル・スタッフを単なる補助的存在ではなく、平和構築経験の主体的担い手として捉え直す視点を提示する。