2026年7月7日

発表要旨(9)

 岡田知子(OKADA Tomoko)東京外国語大学

「カンボジアにおける武侠小説の読者文化 ― 貸本・写本を中心に ―」
“Reader Culture of Wuxia Fiction in Cambodia: Focusing on Lending Libraries and Manuscript Culture”

(発表要旨)
本発表では、1960年代から1990年代半ばにかけてのカンボジアにおける武侠小説の読者文化について検討する。対象とするのは、中国武侠小説のクメール語翻訳、およびその影響を受けてカンボジア人作家が創作したクメール語作品である。これらは1960年代には都市部で貸本として広く流通し、1980年代には言論統制や出版事情を背景に写本として再生産された。さらに1990年代には、タイ・カンボジア国境の難民キャンプ内でも読者による創作がみられた。発表者による地下写本小説関係者への聞き取り調査では、多くが1960年代の貸本武侠小説に言及しており、本発表では金庸作品など中国武侠小説の影響可能性を手がかりに、今後の研究課題を展望する。