2013年6月17日

7/6 カンボジア市民フォーラム、2013年度カンボジア連続セミナー(第4回)「2013年カンボジア総選挙と最近の政治情勢」

2013年度カンボジア連続セミナー(第4回)
2013年カンボジア総選挙と最近の政治情勢

 カンボジアでは本年7月28日、国連暫定統治下での1993年制憲議会選挙から5回目の総選挙が実施されます。複数政党制による定期的な選挙という民主的な政治制度の導入から20年を経た現在、カンボジアの政治はどのような状況にあるのでしょうか?
 本セミナーでは、選挙を軸に過去20年間のカンボジア政治の展開を、選挙の制度と実態の変遷とともに概観し、本年7月の総選挙における争点や各政党の動向などを含め、最近のカンボジアの政治情勢についてお話しします。

日時:7月6日(土)14:30-16:30(14:00開場)
講師:山田 裕史
     カンボジア市民フォーラム事務局長/東京大学持続的平和研究センター研究員/桜美林大学・上智大学非常勤講師

■会場:上智大学10号館地下1階109教室
■会場へのアクセス:JR/東京メトロ「四ッ谷」駅から徒歩5分
■定員:70名
■参加費:一般(700円)、学生(500円)、カンボジア市民フォーラム会員(無料)
■参加申込:事前申込制。お申込みはこちら

■問い合わせ:カンボジア市民フォーラム事務局(担当:上村)
E-mail:pefocj[atmark]hotmail.co.jp  TEL:03-3834-2407  FAX:03-3835-0519

7/5-7 日本比較教育学会、第49回大会

日本比較教育学会、第49回大会のご案内

第49回大会は、上智大学において、以下のとおり開催させていただくことになりました。会員の皆様のご参加をお待ち申し上げます。

日程: 2013年7月5日(金)-7月7日(日)
会場: 上智大学四ツ谷キャンパス
連絡先:第49回大会準備委員会委員長 杉村 美紀
     大会準備委員会アドレス jces49sophia[atmark]gmail.com
大会ホームページはこちらをご覧ください。

[7/6、自由研究発表I-3に、カンボジアに関する発表が4本あります]

6/26 シンポジウム「グローバル社会を歩く-生物多様性、文化遺産、イスラーム世界-」@上智大学

上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻主催による、次の
ようなシンポジウムが開催されます。地域研究が扱うイシューや、その研究手法
について具体的にわかりやすく講演していただきます。地域研究にまだなじみの
ない学部生の皆さんにも聴きに来てもらいたく企画しました。ディスカッション
の時間を設けましたので、「地域研究とは何か」という疑問をぶつけて帰ってく
ださい。

【シンポジウム】
グローバル社会を歩く-生物多様性、文化遺産、イスラーム世界-

日時 2013年6月26日(水)17:30-19:50
場所 上智大学四ツ谷キャンパス中央図書館8階821会議室
主催 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻
申込 事前申し込み不要、入場無料

講師 
赤嶺淳(名古屋市立大学)「マルチサイテット・アプローチのすすめ-グローバ
ル時代の東南アジア海域世界を理解するために-」
田代亜紀子(奈良文化財研究所)「地域からみる世界遺産―グローバルとローカ
ルの狭間で-」
辰巳頼子(清泉女子大学)「イスラーム世界を歩く―マラウィとカイロをめぐる
ひとの移動についての調査研究から-」

詳細 
上智大学HP http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/event
イベント一覧6月26日をご覧ください

問合せ先
上智大学 地域研究専攻事務室 gdarea[atmark]sophia.ac.jp

6/19 "Les sites archeologiques du nord du cambodge" @ Institut Français

Conférence
LES SITES ARCHÉOLOGIQUES DU NORD DU CAMBODGE

Bruno Bruguier,
Maître de Conférences à l’Ecole française d’Extrême Orient

Mercredi 19 juin à 19h30

Institut français du Cambodge

En français, traduit en cambodgien et anglais

Si Angkor reste la vitrine de la grandeur du royaume khmer, le classement de Preah Vihear au Patrimoine mondial de l'Unesco montre l'importance des aménagements provinciaux et des capitales successives.
Koh Ker, Preah Vihear et Preah Khan de Kâmpong Svay sont des sites emblématiques que le récent développement du réseau routier cambodgien rend facilement accessibles. Aux côtés de ces majestueux sanctuaires, d'autres vestiges méconnus témoignent, par leur nombre et leur diversité, de la puissance du royaume.

2013年6月12日

6/29 カンボジア市民フォーラム、2013年度カンボジア連続セミナー(第3回)

2013年度カンボジア連続セミナー(第3回)
『カンボジア』のリアル現代史を語る:1980年以来の現場活動体験から

 1979年、ベトナム軍の攻撃で、隣国カンボジアのポル・ポト政権(民主カンプチア政権)が倒されたのは、当時の政治文脈において大きな驚きでした。その直後から現地行きを目指し、1980年、カンボジア/インドシナ難民救援で、タイ・カンボジア国境で活動し、その後、当時未だ謎に満ちていたカンボジア、ベトナム国内に入り、世界のNGO、AFSCやOxfamなどと協力し人道・復興支援を開始・継続してきました。内戦、戦争が続き、多くの人々、子どもたちが傷つき犠牲になった時代でした。
 今回の講演では、カンボジア/インドシナでの実際の活動・生活体験に根ざし、カンボジア現代史を広くアジアと世界の文脈に位置づけて考えたいと思います。 論点としては、①植民地主義と独立、②ベトナム戦争とカンボジア、③空爆と国際人道法、④KR(クメール・ルージュ)問題をふくむ内戦や粛清は、カンボジアの国内問題なのか、⑤KR裁判をどう捉えるのか、⑥現代カンボジア(和平以後)をどう理解するか。 疑問に答える以上に、疑問と課題を拡散する講演となります。

日時:6月29日(土)14:30-16:30(14:00開場)

講師:熊岡 路矢
   カンボジア市民フォーラム共同代表世話人/日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表(創設メンバー)/日本映画大学教員

■会場:上智大学11号館419教室(キャンパスマップはこちら
■会場へのアクセス:JR/東京メトロ「四ッ谷」駅から徒歩5分
■定員:80名
■参加費:一般(700円)、学生(500円)、カンボジア市民フォーラム会員(無料)
■参加申込:事前申込制。お申込みはこちら

■問い合わせ:カンボジア市民フォーラム事務局(担当:上村)
E-mail:pefocj[atmark]hotmail.co.jp
TEL:03-3834-2407
FAX:03-3835-0519

7/8 JCAS次世代ワークショップ公募

地域研究コンソーシアム
「次世代ワークショップ」公募のお知らせ

今年度は4つの枠で公募します。応募の際にはどちらの公募枠を希望するか明記してください
(複数の公募枠に申請してもかまいません)。

※「公募プログラム」内「次世代支援」をご覧ください
http://www.jcas.jp/about/jsedaiws.html

1.「自由課題・自由開催枠」(募集件数:3件)
地域研究に関するワークショップ開催の旅費などを上限40万円まで支援します。開催場所・開催日時やテーマの指定はありません。

2.「東南アジア地域研究枠」(募集件数:1件)
東南アジア地域に関連する企画を募集します。開催会場と開催日時の指定はありません。ワークショップ開催の旅費などを上限40万円まで支援します。

3.「境界研究(ボーダースタディーズ)枠」(募集件数:1件)
ボーダースタディーズに関わる企画の募集です。開催会場と開催日時の指定はありません。採択された場合、研究成果をプロジェクト終了後に『境界研究』もしくは『Eurasia Border Review』で発表していただきます。ワークショップ開催の旅費などを上限30万円まで支援します。

4.「愛知大学中国研究枠(年次集会開催枠)」(募集件数:1件)
現代中国研究に関わる企画の募集です。JCAS年次集会にあわせてワークショップを実施していただきます。年次集会にあわせてのワークショップ実施は、多くの地域研究者に研究企画を知ってもらい、さまざまなコメントを得る機会となります。2013年度の年次集会は11月9日(土)と10日(日)で、ワークショップは2日目(11月10日)に開催していただきます。会場は愛知大学です。ワークショップ開催のための旅費や広告宣伝費などを上限30万円まで支援します。

―公募締切:2013年7月8日(月)(必着)―

6/19 JVCカンボジア現地駐在員報告会「カンボジア農村地域や小学校での環境教育普及の試行錯誤」

カンボジア現地駐在員報告会

カンボジア農村地域や小学校での環境教育普及の試行錯誤
~豊かな農村の暮らしと自然資源管理を目指して~

このイベントでは、JVCカンボジア活動地であるシェムリアップ県チークラエン郡での環境教育活動の取り組みを紹介します。

農村部である当該地域において、環境教育を進めるにあたり、小学校が抱える教育問題や農村を取り巻く状態についても触れ、草の根の活動から見えてきた今のカンボジア農村の暮らしや今後の環境保全のあり方についてもいっしょに考える機会を提供します。

日時 2013年6月19日 (水) 19:00~21:00

会場 日本国際ボランティアセンター(JVC)東京事務所

住所:〒110-8605 東京都台東区上野5-3-4 クリエイティブOne秋葉原ビル6F (会場への地図)

電話:03-3834-2388

アクセス
JR秋葉原駅 中央改札口から徒歩7分
JR御徒町駅 南口から徒歩7分
東京メトロ銀座線「末広町駅」から徒歩5分

スピーカー
樋口 正康
(JVCカンボジア事務所 現地駐在員)

プロフィール
大学卒業後にアメリカに留学、国際開発学で修士号を修める。その後、JVCカンボジア事務所インターンを経て2010年4月より現職。

参加費 500円(当日、受付でお支払いください)

主催 日本国際ボランティアセンター(JVC)

申し込み/
問い合わせ先
日本国際ボランティアセンター(JVC) 担当:山崎
TEL:03-3834-2388 / FAX:03-3835-0519 /
E-Mail: yamazaki[atmark]ngo-jvc.net

7/6 Tanabata @ CJCC


6/15-16 第20回多文化間精神医学会学術総会

第20回多文化間精神医学会学術総会

第20回の学術総会の開催が下記のように決定されました。

テーマ:「しなやかな共生をもとめて」

主催:自治医科大学精神医学教室
   (加藤敏教授)

会場:栃木県総合文化センター
   (宇都宮)

日時:2013年6月14日(金)、15日(土)

※ 学術総会ホームページはこちらから

[シンポジウム10に、カンボジアに関する発表があります]

7/6 CSAJ Charity Event


2013年6月9日

6/29-30 第7回日本カンボジア研究会、プログラム

第7回 日本カンボジア研究会のご案内

日本カンボジア研究会では、今年度の研究会を以下の要領で開催いたします。本研究会は、カンボジアに関連した総合的な意見交換の場をつくることを目的とし、多様な分野・専門性と立場の方を一同に集め、年に一回研究会を開催しています。

今年は、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の支援を受けた統一選挙がカンボジアで実施されてから、20年目にあたります。そこで、この間に進んだ社会再編の歩みをナショナルとローカルの両レベルで振り返り、その「光」と「影」の所在を明らかにする特別パネルを二日目に組織します。

オープンな研究会ですので、お誘い合わせの上ぜひ積極的にご参集ください。参加にあたって、事前の連絡は必要ありません。

日時:2013年6月29日(土)、30日(日)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室

▼会場は、百万遍ではなく川端通り沿いのキャンパスになります。 会場の場所に
ついてはこちらもご参照ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_m.htm

【第1日目】

13:50 開会 (13:00 開場)

14:00-15:10 自由発表(1)
新谷春乃(東京大学大学院総合文化研究科)
「カンボジア現代史認識の変容―1979年以降の国定教科書の分析を通して―」
☞発表要旨

15:10-16:20 自由発表(2)
千田沙也加(名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
「カンボジアにおけるポル・ポト時代後の教師像―カンダール州前期中等教員養成校教師のライフヒストリーから―」
☞発表要旨

16:20-16:30 休憩

16:30-17:40 自由発表(3)
石橋弘之(東京大学大学院農学生命科学研究科)
「カンボジア南西部カルダモン山脈における社会関係の再編―移動、離別、交流、再会、記憶―」
☞発表要旨

17:40-18:00 質疑

18:30- 懇親会

【第2日目】

特別企画パネル「1993年以降のカンボジアの変容が示す光と影」

12:00-12:40 ☞趣旨説明
小林知(京都大学東南アジア研究所)
「『国際関与下の社会再編』を問い直す」

12:40-13:20 発表(1)
高橋宏明(東海大学教養学部国際学科)
「変わるもの、変わらないもの―カンボジア「復興」・「再生」の20年を振り返る―」

13:20-14:00 発表(2) 
矢倉研二郎(阪南大学経済学部)
「カンボジア農村からの労働移動―その社会・経済・政治的背景とインパクト」

14:00-14:10 休憩

14:10-14:50 発表(3)
米倉雪子(昭和女子大学人間文化学部)
「カンボジア農村での農業開発協力と保健医療協力をつなぐ試み」

14:50-15:30 発表(4)
百村帝彦(九州大学熱帯農学研究センター)
「カンボジアにおける森林資源管理の変容」

15:30-15:40 休憩

15:40-17:30 質疑とディスカッション
司会:笹川秀夫(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部)
ディスカッサント:
高橋美和(愛国学園大学人間文化学部)
坂野一生(神戸大学大学院国際協力研究科)
山田裕史(日本学術振興会特別研究員PD)
その他

17:35 閉会

以上

連絡先:小林知(京都大学東南アジア研究所)

6/29 第7回日本カンボジア研究会、発表要旨1

「カンボジア現代史認識の変容―1979年以降の国定教科書の分析を通して―」

新谷春乃(東京大学大学院総合文化研究科)

 本報告の目的は、人民党政権下(1979-2012年)、国定歴史教科書を通して、カンボジア現代史がいかに叙述され、変容してきたかを明らかにすることである。カンボジアでは独立以降、度重なる体制転換の中、その時代に適合するようカンボジア史が捉え直されてきた。独立以来、最長の統治を続ける人民党政権もまた、時勢の変化に応じて巧みに政治的性格を転換する中で、同様の捉え直しをしてきた。本報告が扱う現代史は、その捉え直しの中でも特に変化が著しい。なぜなら、現代史は人民党にとって自らの支配の正当性を歴史的に証明する重要なツールであるからだ。そのため、教科書においても人民党史に沿った現代史叙述がされてきたが、近年その傾向に変化が見られるようになる。本報告では、この現代史認識の変容を、シハヌーク評価とポル・ポトを含む共産主義評価を軸として論じたい。

6/29 第7回日本カンボジア研究会、発表要旨2

「カンボジアにおけるポル・ポト時代後の教師像
―カンダール州前期中等教員養成校教師のライフヒストリーから―」

千田沙也加(名古屋大学大学院教育発達科学研究科、日本学術振興会特別研究員)

 本発表は、ポル・ポト時代後のカンボジアにおける教師像を、教師のライフヒストリーという形で、すなわち一般的な教師像としてではなく事例として詳細にどのような人物であったのか描き出すことを目的とする。ポル・ポト政権の後を継いだヘン・サムリン政権期(1979―1989年)の教育に関する研究は、管見の限りでは少ない。教師に関しては、「多少の学歴により採用された教師像」がステレオタイプとして一般論化している一方、その時代の教師の実態に関する詳細はこれまで明らかにされていない。またヘン・サムリン時代の教師像を検討することは、今日の教育開発において中心的な存在である現在の教師たちの背景を深く理解する一助にもなると考える。

 本発表では、前期中等教員を養成する機能を持つカンダール州地域教員養成校を調査地とし、同校の設立時から教師を務めてきた現在の校長に対する聞き取り調査にもとづき、ライフヒストリーを作成する。また、同じくヘン・サムリン時代から教師であった他2名のライフヒストリーも参照し、1980年代以降の同校における教師像を検討する。そしてそこから、ポル・ポト時代以前の学歴だけでなく、彼らと地域とのつながり、ヘン・サムリン時代の前半と後半における教師像の違い、またこの時代の前期中等教員養成方法などの論点を提示する。

6/29 第7回日本カンボジア研究会、発表要旨3

「カンボジア南西部カルダモン山脈における社会関係の再編-移動、離別、交流、再会、記憶」

石橋弘之(東京大学大学院農学生命科学研究科、日本学術振興会特別研究員)

 カンボジアでは1970年代以降の政変と内戦から避難するために、人々は国内各地から海外まで様々な形で移動を経験した。そのなかで、カンボジア南西部のタイ国境沿いにあるカルダモン山脈は仏領期前後から林産物交易品の産地として人の往来があった一方で、タイとの戦争や徴税からの逃亡を通じて人びとが歴史的に移動を繰り返して来た地域である。そして、ポル・ポト政権下の強制移住に続き、同政権が崩壊した1979年以降はカンボジア内戦の激戦区となり、1990年代末まで続いた戦災から逃れるために、住民は森の中やタイ国境難民キャンプに避難し、その過程で親族や知人との離別離散を経験した。

 山脈各地ではでは治安が一時的に安定した国連暫定統治下の1990年代初頭に集落が再建され始めたが、親族や知人と離別した住民はお互いに地理的に離れた村に暮らすことになった。しかし、そうした中でも、終戦後に再会して交流や連絡を続ける人もいれば、それができなくとも離別した相手や故郷の記憶を持ち続けている人もいる。また、1970年代以降の出来事は住民間の離別をもたらした一方で、避難のために人びとが移動する過程で同じ山脈出身でもそれまで会うことのなかった村の住民や、その他の地域から逃れて来た人と山地住民との新たな交流を生み知人・親族関係を形成する契機でもあった。そして、2000年代以降には道路や橋の整備とともに人の往来は活発になり、NGO活動の参加や、開発事業に対応する過程で離れた地域をつなぐ形で住民間の交流が派生している。

 この背景をふまえ、本発表では報告者による2007年から2013年までのフィールドワークの結果をもとに、人の移動と交流の歴史と現在から、山脈に暮らす住民の社会関係の及ぶ範囲とその再編を一つの集落を越えた空間的な広がりから捉えることを試みる。具体的には、山脈各地の主要集落の分布、開拓、移動、再建の経緯を概観した上で、時代ごとの個人・家族単位の移動を出身村、移動先、移動理由、内戦前後に出会い離別した相手との知人・親族・婚姻関係などから住民間の交流や再会の状況を整理する。

6/30 第7回日本カンボジア研究会、パネル趣旨説明

第7回日本カンボジア研究会 特別企画パネル
「1993年以降のカンボジアの変容が示す光と影:国際関与下の社会再編を問い直す」

(趣旨)
 本パネルは、国連暫定カンボジア統治機構(UNTAC)が実施した1993 年の統一選挙を起点として形成された新生カンボジア王国のもとで、同国の国家・社会・自然資源が遂げてきた20年間の変容の実態を総合的な見地から再考し、その功績と問題点を明らかにすることを目的とする。

 カンボジアの現代史は、事実として、時々の国際秩序と密接に連動して進んできた。まず、1970?80年代の同国の状況は、冷戦構造を秩序とする国際政治に翻弄された小国の悲劇を思わせる。そしてその後の1990 年代に、カンボジアの国家と社会が混乱からの「復興」・「再生」へと向かう道筋をつくったのも、国際社会であった。すなわち、1993 年に、紛争解決と平和構築を目標とした国際的な関与のもとで新しい国家がカンボジアに誕生すると、諸外国や国際機関は、多くの場合、西洋発の近代国家モデルにもとづいた新たな国家制度・機構を建設し、強化するために、各種の専門家や事業資金を同国へ送りこんだ。1990年代のカンボジアでは、支援国や国際機関の名称を印された真新しい車輌が首都と地方の農村を結び、国土の彼方此方で橋が架け直され、舗装道路が拡張された。農村では、各種の開発プロジェクトがNGOなどによって開始され、人々の生活状況の改善に向けた取り組みが多様な形で進められた。一方、1990年代末以降は、縫製などの軽工業部門の工場が首都近郊に相次いで建てられ、農村出身の若年女性を中心とする出稼ぎ人口の増加を生みだした。2000年代に入ると、観光業の発展や、全国的な土地価格の高騰、地域経済統合などの社会経済的な変動の渦の中、カンボジアの人々自身も、個人のイニシアチブにもとづく経済活動の拡大に取り組み、各種の努力を重ねた。結果として、1998 年に253 ドルだったGDP は、2008 年に約3 倍(739 ドル)、2012 年には984 ドルまで増加した。そして、今日の日本では、「紛争」や「貧困」といった従来のステレオタイプを大きく離れ、安価な労働力を擁し、政治的にも安定した積極的なビジネスの投資先としてカンボジアを捉える意見を頻繁に見かけようになった。

 しかし、国際関与下で進んだ以上のような新しい国家の建設と社会の再編は、カンボジアの一般の人々の生活の改善に全面的に結びついたものとなっているだろうか。近年のカンボジアでは、フン・セン首相をトップとする権威主義的な政治体制が強化され、マクロ経済の発展と近代的な国家制度の定着のもとで、社会の階層的な分断が進む兆候がみられる。その状況について考察を進めるには、1990年代以降のカンボジア社会の変容の経験を、ナショナル(国家)とローカル(地域)の二つのレベルに分けて検証する事実確認の作業が欠かせない。本パネルは、専門を異にする複数の研究者が提出する1993年以降のカンボジアの変容に関する報告をもとに、ナショナル(国家)とローカル(地域)の二つのレベルで進んだ変化の相互関係とギャップ、およびコミュニティと国家の間を架橋する多様なアクターや、市場経済化と向き合った個々の農民のイニシアチブの意義などを検討し、国際関与下で進んできたカンボジアの社会再編の現実態を解明する。

2013年6月7日

6/20 Tonan Talk by Dr. Mariam B. Lam @ CSEAS, Kyoto University

Tonan Talk by Dr. Mariam B. Lam

Date:June 20 (Thurs.), 2013, 12:00 - 14:00

Place:Tonan-tei (Room No. 201, 2nd floor of Inamori Foundation Memorial Building, CSEAS, Kyoto University

Speaker:Dr. Mariam B. Lam, Associate Professor of Comparative Literature and Southeast Asian Studies, University of California, Riverside

Title:Cultural Economic Development in the Film Industries of Viet Nam, Cambodia and Laos

Abstract:
Film scholarship on postcolonial Southeast Asia often privileges the French colonial period of the three nation-states of Việt Nam, Cambodia and Laos. Today, however, provocative cultural production and economic redevelopment is taking shape in peninsular Southeast Asia. The layered colonial and imperial histories of these three countries and this region as a whole impose certain constraints on the post-Cold War redevelopment of these national film industries, while also allowing for unique transnational innovations. Southeast Asian peninsular films and filmmakers are cross-referencing one another's economic developmental models, governmental initiatives, celebrity cross-over market potentials, connected land and aerial borders, East/West collaborations and North/South co-productions.

Bio note:
Mariam B. Lam is Associate Professor of Comparative Literature, Media & Cultural Studies, and Director of the Southeast Asian Studies Research Program (SEATRiP) at the University of California, Riverside. She is founding Co-Editor of the Journal of Vietnamese Studies, Chair of the Southeast Asian Archive Board at UC Irvine, and an Advisory Board Member of the University of California Humanities Research Institute. Her monograph, entitled Precariat Reckoning: Viet Nam, Post-Trauma and Strategic Affect (forthcoming, Duke UP, 2014), analyzes cultural production and community politics within and across Viet Nam, France, and the US, and she is completing work on her second book, Surfin' Southeast Asia: New Circulations of Cold War Culture and Global Capital.

Moderator:Prof. Hau Caroline (CSEAS)

6/15 カンボジア市民フォーラム、2013年度カンボジア連続セミナー(第2回)「カンボジア・日本友好60周年:元カンボジア大使が語る、両国関係の歴史と展望」

2013年度カンボジア連続セミナー(第2回)
カンボジア・日本友好60周年:元カンボジア大使が語る、両国関係の歴史と展望

 本年1月、カンボジアと日本は外交関係樹立60周年を迎えました。また9月には、日本が官民を挙げて積極的に関与した新生「カンボジア王国」の成立から20周年を迎えます。
 カンボジアには日本のNGO(非政府組織)やODA(政府開発援助)、観光客に続いて、近年では民間企業が続々と進出していますが、そもそもカンボジアと日本は、いつから、どのような関係を築いてきたのでしょうか?
 本セミナーでは、「東洋のパリ」と称えられていたカンボジアに、外務省初のカンボジア語研修生として1957年に赴任し、1990年代初頭のカンボジア和平の実現に重要な役割を果たした元カンボジア大使・今川幸雄氏を講師にお招きし、ご自身とカンボジアのかかわりを軸に、両国間関係の歴史と展望についてお話しいただきます。

日時:6月15日(土)14:30-16:45(14:00開場)
講師:今川幸雄氏(外務省参与、元駐カンボジア特命全権大使)

■会場:上智大学11号館419教室(キャンパスマップはこちら)
■会場へのアクセス:JR/東京メトロ「四ッ谷」駅から徒歩5分
■定員:80名
■参加費:一般(700円)、学生(500円)、カンボジア市民フォーラム会員(無料)
■参加申込:事前申込制。お申込みはこちら

■問い合わせ:カンボジア市民フォーラム事務局(担当:上村)
E-mail:pefocj[atmark]hotmail.co.jp  TEL:03-3834-2407  FAX:03-3835-0519

■講師略歴
1932年生まれ。1956年外務省入省。在フランス公使、在タイ公使を歴任し、1991年在カンボジアSNC(最高国民評議会)担当大使、1992年駐カンボジア特命全権大使。1996年の退官後、上智大学アジア文化研究所客員教授、関東学園大学教授などを歴任。現在、外務省参与、関東学園大学名誉教授、日本カンボジア協会会長、NPO法人JHP・学校をつくる会理事・名誉顧問。