2026年7月7日

発表要旨(5)

調邦行(SHIRABE, Kuniyuki)東京外国語大学

「チュオン・ナート僧王火葬式に関する『カンプチア・ソリヤ』特別号の構成と意義」
“The Structure and Significance of the Special Issue of the Kambujasuriya on the Cremation of Supreme Patriarch Chuon Nat”

(発表要旨)
 創刊以来の『カンプチア・ソリヤ』の各号記事はネット上で公開されている。1971年1月発行の同誌特別号は、僧王チュオン・ナートの火葬式の式次第、葬列図、要人の弔辞などを可視化して記録し、後世に伝えるための媒体として編集された。
 本発表は、同誌の記事内容を検討し、その構成と意義を明らかにするものである。僧王チュオン・ナートは国家仏教の象徴であり、式は単なる高僧の火葬ではなく、宗教 的・政治的国家行事として構成され挙行された。内戦状態の中で、実施日は当初予定より大幅に延期され、日程も縮小された。葬列図は王室葬儀に通じる最高の形式が整えられたことを示し、要人弔辞からは式が反共連帯を強化する国際的儀礼とされたことが読み取れる。また、『チュオン・ナート僧正の遺作』から抜粋して掲載された詩などの作品群の構成には彼の遺志を引き継ごうとする編集の意図が窺える。