レット サラヴィヴァット(RETH, Sarakvivat)名古屋大学・大学院生
「ROSCAsとしてのトンチン:カンボジアにおける現代的展開と法的課題」
“Tontin as ROSCAs: Contemporary
Developments and Legal Challenges in Cambodia”
(発表要旨)
本報告では、カンボジアのトンチンの社会的機能を取り扱う。トンチンはインフォーマルな金融手段である回転型貯蓄信用講(「ROSCAs」)の一種とされており、世界各地に類似の慣行が見られる。ROSCAsは、金融手段のみならず親睦手段としても用いられ、時にギャンブルの一種ともなっている。カンボジアのトンチンに関する数少ない先行研究としては、1961年に公刊したジャン・モリス(Jean Morice)の論文があるものの、現代のトンチンを対象とした体系的研究はほぼ存在しない。本報告では、モリス論文を踏まえてその基本構造を概観したうえで、報告者がカンボジアでのインタビュー調査に基づき、現代の運営実態を分析する。具体的には、「口数」に基づく仕組み、地縁・血縁・職縁に基づく信頼関係、近年広がるオンライン・トンチンの動向を取り上げる。加えて、トンチンを違法とした裁判例にも触れ、慣習と法制度の交錯について検討する。フォーマルな金融制度が発展するなかで、トンチンはやがて消えゆくものなのか、それとも独自の意義を保ち続けるのかを論じる。