宮沢千尋(MIYAZAWA Chihiro)南山大学
「アジア・太平洋戦争期の日本のカンボジア関与の一側面―大川塾卒業生西川寛生の日記から」
“One Aspect of Japan's Involvement in Cambodia during the Asia-Pacific War Period: From the Diary of Hiroo Nishikawa, “Okawa Juku” Graduate”
(発表要旨)
大川周明が設立した「アジアの被植民地解放」のために現地に赴いて働く人材を養成した「大川塾」卒業生であり、ベトナムの民族独立運動を援助していた「アジア主義的企業家」である松下光廣が起こした現地企業、大南公司の社員であった西川寛生という人物がいる。彼が現地で1940年9月から1945年9月までつけていた日記を基に、極めて断片的ではあるが、大南公司のカンボジアでの事業展開、西川のカンボジア観、1945年5月から6月にかけて、彼が関わった「カンボジア工作」について述べる。それにより、アジア・太平洋戦争期の日本のカンボジア関与の一側面を明らかにし、今後の研究への展望に関しても述べる。併せて、先行研究の整理も行いたい。発表者はベトナム研究者なので、カンボジア研究者の皆様からのご教示を願う次第である。