イェン・チョリダー(EAN Chhorida)王立法経済大学
(発表要旨)
「カンボジアにおける裁判外紛争解決国家機構―新しい法律専門職業への導入」
“Alternative Dispute Resolution Authority in Cambodia: An Attempt to a New Legal Profession”
カンボジアでは裁判外紛争解決として、労働仲裁と商事仲裁という二つの分野を中心に処理している組織が存在する。労働仲裁は、共同労働紛争を対象にして処理しているが、商事仲裁は商事紛争を対象にしている。しかし、現在までは特に民事紛争全体を対象にして処理している正式的な組織はなかった。それで、司法省は各裁判所で特に問題になっているケース・オバーロードを解決する一つの措置として、裁判外紛争解決国家機構(National Authority of Alternative Dispute Resolutions:NAADR)を提案し、2023年11月2日に勅令で設立した。NAADRの目的は、①各裁判所において溜まっている事件数を減す、②紛争解決サービスを地域住民に近づける、③社会の調和と正義を確保するためだと当該勅令第1条で宣言している。しかし、NAADRの設立は各裁判所のケース・オバーロードの解決にどう繋がるのか?その調停職員は、だれなのか?この発表はNAADRについて紹介し、それに関わる法的な問題やその課題について議論する。