2022年6月30日、カンボジア王立プノンペン大学人文・社会学部学部長のUn Leang先生が「カンボジアにおける高等教育—誰のための、何のためのものか?—」という題目でzoomレクチャーをされます。
ご関心のある方がおられましたら、以下名古屋大学高等教育センターのサイトから申し込みをされますようお願いいたします。申込締め切りは6月27日です。
名古屋大学高等教育センターのセミナー案内:https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/seminar/220630_un/
2022年6月30日、カンボジア王立プノンペン大学人文・社会学部学部長のUn Leang先生が「カンボジアにおける高等教育—誰のための、何のためのものか?—」という題目でzoomレクチャーをされます。
ご関心のある方がおられましたら、以下名古屋大学高等教育センターのサイトから申し込みをされますようお願いいたします。申込締め切りは6月27日です。
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第16回日本カンボジア研究会 プログラム
期日:2022年7月16日(土)、17日(日)
開催形態:対面兼オンライン
開催場所:京都大学東南アジア地域研究研究所 大会議室
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/access/
<2022年7月16日(土)>
12:30 開場
13:00-13:10 趣旨説明
13:10-14:10 発表(1)【対面】
傘谷祐之(KASAYA Yushi) 名古屋大学
「カンボジア王国憲法30年のあゆみ:「複数政党制の自由民主主義体制」の変容」
“Thirty Years of the Constitution of the Kingdom of Cambodia: The Metamorphosis of "the principles of liberal multi-party democracy”
発表要旨は、こちら
14:10-15:10 発表(2)【対面】
吉田篤史(YOSHIDA Atsushi) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 修士課程
「1980年代初期におけるカンボジア人民革命党の権力構造」
“Who had power in the People's Revolutionary Party of Kampuchea in the Early 1980s?”
発表要旨は、こちら
15:10-15:30 休憩
15:30-18:00 パネル「地方議会選挙から考える独裁回帰後のカンボジア政治」
“Cambodian Politics after Returning to Dictatorship: A Perspective from Commune Council Elections”
2017年の最大野党・救国党の解党、2018年の国民議会選挙での人民党による全議席独占により、カンボジアは事実上の一党独裁に回帰したと言われている。近年のカンボジアでは野党勢力の分断が進む一方、世襲による首相後継構想が表明されるなど、フン・セン首相を中核とする人民党支配は強権化の一途をたどっている。今年6月に実施された第5期コミューン評議会選挙は、独裁回帰後初めての地方レベルにおける直接選挙であり、人民党による体制維持戦略上、そして野党勢力にとっても来年の総選挙への足掛かりとして重要な意味を持つ。
本パネルは、2017年の選挙を事例として人民党体制下におけるコミューン評議会選挙の役割・機能に関する分析(山田裕史・新潟国際情報大学)、独裁回帰後のカンボジアの政治動向と第5期コミューン評議会選挙に関する分析(新谷春乃・日本貿易振興機構アジア経済研究所)、日本政府による選挙管理支援の現場からの報告(辰巳知行・JICA 専門家)で構成される。ディスカッションでは、これらの報告をもとにカンボジア政治の現在と2023年国民議会選挙への展望を議論する。
司会:小林知(KOBAYASHI Satoru)京都大学【対面】
15:30-15:35 趣旨説明【オンライン】
新谷春乃(SHINTANI Haruno) 日本貿易振興機構アジア経済研究所
15:35-16:05 発表 ①【オンライン】
山田裕史(YAMADA Hiroshi) 新潟国際情報大学
「人民党体制下のコミューン評議会選挙の役割・機能」
16:05-16:35 発表 ②【オンライン】
新谷春乃(SHINTANI Haruno) 日本貿易振興機構アジア経済研究所
「独裁回帰後のカンボジアの政治動向と第5期コミューン評議会選挙」
16:35-16:45 休憩
16:45-17:15 発表 ③【オンライン】
辰巳知行(TATSUMI Tomoyuki) JICA専門家
「カンボジアにおける選挙管理の現状と課題及び日本の選挙管理協力」
17:15-18:00 コメント・質疑応答【オンライン】
コメンテーター:初鹿野直美(HATSUKANO Naomi)日本貿易振興機構アジア経済研究所
※懇親会の開催については検討中です。
<2022年7月17日(日)>
9:30 開場
10:00-11:00 発表(1)【オンライン】
東佳史(AZUMA Yoshifumi)立命館大学
「プノンペンの配車アプリドライバー達に関する予備考察:2022年リモート調査から」
“Interim Report on the Dispatch Application Drivers in Phnom Penh 2022”
発表要旨は、こちら
11:00-12:00 発表(2)【オンライン】
吉田尚史(YOSHIDA Naofumi)立正大学
「在留カンボジア人労働者の医療・福祉についての検討-“精神の不調”に注目をして」
“A Study of Cambodian Workers on Medical Service and Social Welfare in Japan: Focusing on "Mental Issues"”
発表要旨は、こちら
〈お昼休憩〉
13:00-14:00 発表(3)【対面】
下田麻里子(SHIMODA Mariko)早稲田大学文学研究科博士後期課程 日本学術振興会特別研究員
「アンコール期末期からポスト・アンコール期初頭のカンボジア初期上座部仏教寺院の形成過程とその歴史的背景に関する検討」
“A Study on the Formation Process of Cambodian Early Theravada Buddhist Temples and its Historical Background in the Late 13th - 16th Centuries”
発表要旨は、こちら
14:00-15:00 発表(4)【対面】
千田沙也加(SENDA Sayaka)京都大学東南アジア地域研究研究所 日本学術振興会特別研究員
「カンボジアにおける凄惨な過去の継承に関する予備的考察―教師教育者の経験と語りから―」
“A Pilot Study of the Inherited Tragic Past in Cambodia: Analysis of Teacher Educators’Experience and Narrative”
発表要旨は、こちら
15:00-16:00 発表(5)【オンライン】
ソウ・ヤーリー(SOU Yaly)横浜国立大学国際社会科学府 博士課程
「カンボジアにおける登記なき不動産特別占有権の保護に関する考察」
“Consideration on the Protection of Unregistered Special Possession Rights on Real Estate in Cambodia”
発表要旨は、こちら
傘谷祐之(KASAYA Yushi) 名古屋大学
「カンボジア王国憲法30年のあゆみ:「複数政党制の自由民主主義体制」の変容」
“Thirty Years of the Constitution of the Kingdom of Cambodia: The Metamorphosis of "the principles of liberal multi-party democracy”
カンボジア王国の現行憲法(1993年憲法)は、来年2023年で公布・施行から30周年を迎える。短命に終わることが多かったこれまでのカンボジアの諸憲法の中では、最も長い期間にわたって効力を有した憲法である。しかし、1993年憲法の基本原則の一つである「複数政党制の自由民主主義体制」は、2017年の最大野党の解党と、2018年の上下院選挙での与党による議席の独占を経て、ここ数年で急速に形骸化しつつあり、現地英字紙では「民主主義は死んだ」との評価もなされている。1993年憲法は、2021年までに9回の改正・1回の条項追加を経てきた。この報告では、この計10回の憲法の変更を振り返り、「複数政党制の自由民主主義体制」が変容しつつあることを指摘する。
なお、この報告は、2021年12月に公刊した拙稿「カンボジア王国」鮎京・四本・浅野編『新版 アジア憲法集』(明石書店、2021年)161-206頁、に基づく。
吉田篤史(YOSHIDA Atsushi) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 修士課程
「1980年代初期におけるカンボジア人民革命党の権力構造」
“Who had power in the People's Revolutionary Party of Kampuchea in the Early 1980s?”
本発表の目的は、フン・センの首相就任以前に形成されていた人民革命党内の権力構造を整理することである。カンボジア人民党(1980年代の名称はカンボジア人民革命党)党首フン・センは、1985年に首相に就任した。そして現在に至るまでその地位を維持しており、その任期は37年に上る。ではなぜ、長期フン・セン政権は成立しえたのか。本発表はこの問いを解明する基礎作業として、フン・センの首相就任以前、つまり1979年から1984年を射程に、党や国家機構の組織と人事を指標として党内の権力構造を整理する。これにより、長期フン・セン政権の成立要件の一端を解明できると考える。尚、本発表内容は、2022年度京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科に提出予定の修士論文の一部である。
東佳史(AZUMA Yoshifumi)立命館大学
「プノンペンの配車アプリドライバー達に関する予備考察:2022年リモート調査から」
“Interim Report on the Dispatch Application Drivers in Phnom Penh 2022”
本発表は2019年の第13回カンボジア研究会で発表した「プノンペンの配車アプリドライバー達-2018-9の事前調査から」を発展させた実証研究である。今回は現地CPを雇用しての遠隔調査を行った。具体的には現地CPと共にGoogle Formsで58問からなる質問票を作成し、Grab運転手にMessenger経由で送付し回答をチェック後、WingやABA口座に送金する方法をとった。しかし、銀行から「見知らぬ人からのABA銀行口座を教えないように」とSMSで警告され多くの運転手は入力をためらい、調査は大幅に遅延した。イオンモール等の待合場所で待っている運転手を捕まえて直接入力してもらうという原始的な方法を取るしかなく、カンボジアでの都市一般民への現地調査の困難さを示している。2018-9年の予備調査結果と比較して興味深いのは学歴である。電話インタビューによる予備調査では約半数が高校中退か卒業でありスマホ運用能力があり平均年齢は35才、家族持ちが97%であった。一方、2022年調査では学歴は半数以上が小卒以下となり2割が独身となっている。スマホアプリ理解度は2割以上が困難さを覚えるとし、調査結果には多くの差異が生じた。
吉田尚史(YOSHIDA Naofumi)立正大学
「在留カンボジア人労働者の医療・福祉についての検討-“精神の不調”に注目をして」
“A Study of Cambodian Workers on Medical Service and Social Welfare in Japan: Focusing on "Mental Issues"”
本発表の目的は、タイトルにもある通り、在留カンボジア人労働者の医療・福祉について、「精神の不調」に注目をして、検討を行うことである。発表が依拠する資料は、第一に官公庁・公的機関が公開している統計データを含めた一次資料、第二に在留外国人労働者、彼らの医療・福祉、そしてカンボジアに関連する先行研究による二次資料である。本発表では、労働者のうち、定住が前提でない2つの在留資格(技能実習、特定技能)によるカンボジア人を主たる対象とし、その現状と課題について言及する。発表者は、国内・国外でフィールド調査を今後進める予定であり、本発表の内容はその基礎的資料となるものと考えている。暫定的ではあるが、カンボジア人を含めた在留外国人労働者の医療・福祉上の課題において、公的サポートによる対策は適宜とられているものの、メンタルヘルス不調の場合ではより困難さがあり、その実情は十分に明らかではないと結論づけられた。
下田麻里子(SHIMODA Mariko)早稲田大学文学研究科博士後期課程 日本学術振興会特別研究員
「アンコール期末期からポスト・アンコール期初頭のカンボジア初期上座部仏教寺院の形成過程とその歴史的背景に関する検討」
“A Study on the Formation Process of Cambodian Early Theravada Buddhist Temples and its Historical Background in the Late 13th - 16th Centuries”
本発表は、アンコール期末期からポスト・アンコール期初頭の上座部仏教寺院を対象とした形態学的検討から、カンボジア初期上座部仏教寺院の形成過程を明らかにすることを目的とする。これにより、史料の欠落により歴史的空白期とされる当該時期におこった、中世カンボジア国家の変容について上座仏教という視点からの解明すること、および、今日のカンボジア特有の上座部仏教寺院の理解へとつなげていきたい。
発表者は多様な遺構形態が集中するアンコール地域の13世紀末-16世紀の初期上座部仏教寺院を対象とした建築学的考古学的調査を実施、類型化を行い、礼拝建築(ストゥーパや祠堂)と"Kouen Preah Vihear"(仏教テラス)の関係性から6つのタイプに類型化した。さらに中世の碑文、年代記、先行研究、および現地調査により、形態やおよその年代観が判明しているカンボジアの他地域の同時代の寺院遺構と対応させることで、各類型のおおまかな変遷を把握した。これらをもとに、(1)礼拝建築と"Kouen Preah Vihear"の関係性の変化、(2)Kouen Preah Vihear(仏教テラス)のいくつかの特性、(3)礼拝建築の変化、そしてこれら変化がおこった歴史的背景について考察する。
千田沙也加(SENDA Sayaka)京都大学東南アジア地域研究研究所 日本学術振興会特別研究員
「カンボジアにおける凄惨な過去の継承に関する予備的考察―教師教育者の経験と語りから―」
“A Pilot Study of the Inherited Tragic Past in Cambodia: Analysis of Teacher Educators’ Experience and Narrative”
本報告は、ポル・ポト政権期の凄惨な過去について、次世代の教育に携わる教育者が、どのようにその過去を受けとめ、いかに次世代へ伝えたいと考えているのか明かにすることを目的とする予備的考察である。調査は、1989年から2006年の間に初等及び中等教育を受けた経験があり、7年から16年間の教職経験のある4名の教員養成機関の教育者を対象とし、2022年2月にオンラインで聞き取りを実施した。聞き取り調査の結果、家庭や地域社会で、ポル・ポト政権期の過酷な出来事のみならず、平等で良かったという話など比較的良い出来事を聞いたこと、また1990年代前半までは、1980年代に作成された教科書が用いられ、あらゆる教科で知る機会があったことが語られた。そして、ポル・ポト政権期の過去の継承は、平和のために原因と影響を伝えたり、「民主主義とは何か」を考えたりする機会であることが望まれていた。すなわち、今回の調査対象の教育者たちにより、ポル・ポト政権期の過去を多様な状況として受け止めて、平和や民主主義と関連して継承しようとしていることが示唆された。
ソウ・ヤーリー(SOU Yaly)横浜国立大学国際社会科学府 博士課程
「カンボジアにおける登記なき不動産特別占有権の保護に関する考察」
“Consideration on the Protection of Unregistered Special Possession Rights on Real Estate in Cambodia”
カンボジアにおいて、現在でも登記が行われていない不動産も相当数存在し、私的所有権の概念においても、新民法適用後も所有権のみならず、特別占有権という概念も共存している。登記済みの特別占有権の場合は、新民法に基づき所有権とみなされるも、未登記の特別占有権の場合は、法的に特別占有権を主張するための理論構築ができていないため、土地紛争になる際、未登記の特別占有者にとって不利な結果になることが多いと思われる。
以上のような問題意識を出発点として、本論はカンボジアにおける登記なき特別占有権に関する展開及び諸問題を明らかに検討する必要があると共に、原所有権の認定が完備するまで、どのようにその権利者を保護するのか、を究明する。
そこで、まず、特別占有権の歴史を説明し、その変容と展開を検討した。次に収集したマスメディアが取り上げた事例、裁判例と実務家と専門家とのヒアリング調査及びインタビューに基づき、取引の現状と諸問題を示しながら、現行法の下に未登記の特別占有権の取り扱いを明確に考察した。最後に、法的位置付けの見直しを論じながら、結論と今後の課題を述べた。
上智大学アジア文化研究所は、旅するアジア講演会「カンボジアで影絵芝居の伝承を担う一座の試み -コロナ禍における無形文化遺産-」を、6月25日(土)に下記のとおり対面およびオンラインで開催します。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時:2022年6月25日(土)14:00-15:30(開場13:40)
講師:福富
友子(ふくとみ・ともこ)氏(上智大学、慶應義塾大学非常勤講師)
1997~2000年にティー・チアン一座でスバエク・トムを学ぶ。
著書に『旅の指さし会話帳 カンボジア』(情報センター出版局)等。
スバエクの会代表
会場:上智大学2号館4階401教室(2-401)(オンラインによる同時配信もあります)
https://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya.html (当日は「北門」から入構ください)
申込: 対面参加、オンライン参加いずれも6月23日(木)までにお申込みください。お申込み後に登録メールアドレス宛に詳細をご案内します。
申込フォーム:
https://forms.gle/SqgHde3y2SXMhSgS9
問い合わせ:上智大学アジア文化研究所
Email: i-asianc[@]sophia.ac.jp
概要:カンボジアのシエムリアプ州で伝えられてきた大型影絵芝居スバエク・トムは、演じる一座の数が極めて少ない芸能です。かつては葬送儀礼や国内の大きな行事で演じられてきた芸能でしたが、90年代以降は主に海外からの観光ツアー向け上演等をたよりになんとか継続されてきました。そしてコロナ禍が長引く中、スバエク・トムは現在あらたな危機に直面しています。
シエムリアプ州で最も古い一座であるティー・チアン一座は、1970年から20年以上続いた内戦により消えかかっていたスバエク・トムを復活させ、次世代へ継承されていくよう活動を続けてきました。しかし上演機会を失った今、座員たちは一座の存続のみならず、この芸能自体の存続もあやういと感じ、将来に向けての不安を募らせています。
本講演では、無形文化遺産がその地で生き続けるために必要なことや、外部者としてのかかわり方を考える一例として、このティー・チアン一座の活動とコロナ禍の影響、日本からの支援によって現地で行われた小学校上演の様子についてお話します。
主催:上智大学アジア文化研究所
後援:カンボジアの小学校でのスバエク・トム上演を支援する有志の会