青学オープンカレッジ「外交官の見る世界と日本外交」
講座名 外交官の見る世界と日本外交
会場 青山キャンパス
期間 全4回(8/18,8/25,9/1,9/8)
曜日 水
時間 13:00~14:30
定員 60名
申込期間 10/06/15(火)~10/08/17(火)
受講料 9,600円
第1回 8/18
「なぜ中東和平は実現しないのか? 日本の役割は?」
中東情勢、とりわけパレスチナ問題など容易に解決しない中東和平の動向は、欧米諸国を中心に国際テロ対策を含め国際政治上の日常的な関心事となっている。これに対し、日本では中東といえば原油などエネルギー確保といった視点が強調されることはあっても、この地域の核となっている中東和平問題についての理解不足の感が否めない。ヨルダン在勤の経験を踏まえ、中東和平実現の難しさ、米国はじめ主要国の関与と日本の果たすべき役割を論ずる。
前在ヨルダン特命全権大使、株式会社ジャパン・アイディー特別顧問
加藤重信
青山学院大学経済学部経済学科卒業。1968年外務省入省。文化第一課長、領事移住部審議官、在シドニー総領事、在トリニダード・トバゴ特命全権大使などを経て2006年より在ヨルダン特命全権大使。2008年10月退官。在任中、多くの交渉に従事する機会があり、また、事故・事件などの処理や危機管理にも従事した。
第2回 8/25
「地球規模課題と日本」
環境問題を始め、国際社会では、一つの国の力だけでは対処できない課題への取り組みが議論されている。講師が担当した気候変動問題につき国際会議や国内の調整作業に言及しつつ現状と将来の課題について講義する。また、現代国際社会の変質に着目して、主権国家の概念の相対化や人間の安全保障の考え方を紹介する。以上の講義を踏まえ、受講者と日本が果たすべき国際的な役割について議論したい。
外務省国際法局長
鶴岡公二
1976年東大法学部卒業、同年外務省入省。1978年ハーバード大学法律大学院修士終了。外務本省勤務を経て、1986年在ソ連大使館、1988年在米国大使館勤務。1994年外務省条約局法規課長、1996年同北米局北米第二課長、1998年同北米第一課長。2000年在インドネシア大使館公使。2002年政策研究大学院大学教授。2003年外務省総合政策局審議官、2006年同地球規模課題審議官、2008年同国際法局長。国際法、政治・安全保障、経済・貿易交渉を担当。国連主催会議にも多数出席。現在東大公共政策大学院客員教授を兼任。
第3回 9/1
「今ヨーロッパで何が起こっているか?」
ギリシャ、ローマ以来の永い歴史抜きに、現在のヨーロッパ(EU)を理解するのは難しい。例えば域内25の言語一つを取ってみても、どのようにして各国間の相互理解が可能なのだろう? 言葉を超える文化的、精神的な共有財産があるからに違いない。他方、グローバル化と同時に世界の多極化という二つの奔流が渦巻く中で、EU各国社会に大きな変化が起こりつつある。政治、経済、宗教、文化、道徳などの様々な角度からそれを探ってみよう。
元フィリピン大使、財団法人外務奨励会会長
荒義尚
1962年東京大学法学部卒、同年外務省入省。フランス、ベルギー、スイス、中国、韓国等で勤務。本省では、欧亜局審議官、領事移住部長等を歴任。駐フィリピン大使の後、2002年退官。以後、PECC(太平洋経済協力会議)日本委員長、埼玉工業大学教授を経て、現在、(財)フィリピン協会理事長など。論文として、「外国人労働者問題」、「最近のテロ事件についての若干の考察」他。
第4回 9/8
「最近のカンボジア事情」
カンボジアは、1991年に和平成立し、国際社会からの復旧・復興支援が開始された。日本は最大の援助国として国際社会をリードしている。2000年より外国投資が急増し、本格的な経済開発が始まっている。2010年の経済成長率予測は4%強である。高度成長を支えたのは縫製業、観光事業、建設ブーム、好調な農業である。今後は、地理的な有利性を活かして近隣進出日系企業の補完的な生産拠点になる可能性を秘めている。豊富な労働力、沖合の石油・ガス資源の開発(2012年)、ボーキサイト、銅等の鉱物資源の開発もそれを後押ししている。とはいえ、輸送インフラのさらなる整備、より安価なエネルギー源の確保、人材のさらなる育成など様々な課題も残っている。
前在カンボジア特命全権大使
カンボジア国際教育支援基金(現CIESF)副理事長
篠原勝弘
横浜市立大学卒業。1967年4月外務省入省。本省では南東アジア1課調整官や経済協力局民間支援室長などを、そして在外では累次にわたるカンボジア勤務とフランス、タイ、米国などでの在勤を経て、在チェンマイ総領事に続きカンボジア大使を務め2009年退官。現在、カンボジア国際教育支援基金(現CIESF)副理事長・カンボジアオフィス代表として活躍中。