2009年12月3日

12/19 地域研究コンソーシアム地域研究方法論研究会

主催: 地域研究コンソーシアム地域研究方法論研究会
共催:
京都大学地域研究統合情報センター共同研究プロジェクト「地域研究方法論」
大阪大学人間科学研究科グローバル人間学専攻

開催場所: 大阪大学吹田キャンパス人間科学部東館106教室
開催日時: 2009年12月19日 14時~17時

プログラム:
話題1 山本博之(京都大学地域研究統合情報センター)
「先行研究との対話――東南アジアのナショナリズム論を例として」

話題2 柳澤雅之(京都大学地域研究統合情報センター)
「地域理解のための自然科学者によるアプローチ」

話題3 河森正人(大阪大学大学院人間科学研究科グローバル人間学専攻)
「創られるコミュニティ――地域研究と開発研究の対話」

概要:
 グローバル化の時代とは、個人が世界と向き合うことが求められる時代でもあります。かつて国際社会では国家どうしの関係が基本だったため、個人が外国でトラブルに巻き込まれたときには国家どうしの関係を通じて解決されました。戦争している国に足を踏み入れない限り、戦闘に巻き込まれることはないはずでした。しかし、今や国家に頼れないことが共通の理解になりつつあります。個人が外国でトラブルに巻き込まれると、それは自己責任だと言われるようになりました。外国人との間で「話せばわかる」が通じずに困っても誰にも頼れず、個人で解決しなければならないのです。
 このことは、外国に行かない人にも決して無関係ではありません。国境を越えた人の移動が盛んになっているので外国に行かずとも外国人に会う機会が増えたせいもありますが、同国人どうしでも共通のルールが通用せずに「話せばわかる」が通用しない状況が増えているためでもあります。このような状況では、慣例や多数決だけでものごとを決めても有効に働きません。「場」に知識や経験が蓄積されないため、あるときある場にいる人たちの間で合意が得られても、その翌日にはその場にいる人の半分が入れ替わってしまうかもしれないためです。このような状況にどう対応するかは、今日の世界に生きるすべての人の目の前にある課題です。
 この課題に対応するには、さまざまな分野での知識や経験を持ち寄り、それをその社会の特殊性とすることで満足するのではなく、そこから現代世界をよりよく生きる知恵を引き出し、それを地域性や時代性を超えて一般に通用する知恵として組み直すことが必要です。世界中から経験を持ち寄るのはもちろんですが、現代だけでなく過去の経験も参照する必要があります。このことは地域研究者が行ってきたことにほかなりません。ただし、地域研究者の間でも背景となる学問分野によって方法が異なり、地域研究全体で共通する方法が確立しているわけではありません。
 この研究会では、地域研究に携わっている国内の大学を訪れて、地域研究の現場にいる教職員や学生と意見交換を行うことを通じて、地域研究の多彩な姿を捉え、地域研究について考える共通の枠組みを作りたいと思っています。第5回研究会は大阪大学で行います。この研究会はどなたでも参加できますが、地域研究に携わる大学院生や若手研究者の参加を特に歓迎します。