2019年6月10日

6/30 発表要旨(9)

<ポスターセッション>宮城県仙台二華高等学校
Poster Presentations by the Students of Miyagi Prefectural Sendai Nika High School

9-1 佐藤涼香(宮城県仙台二華高等学校)
「トンレサップ湖における水上集落への雨樋設置と住民の意識の変化」

"Setting Rain Gutter in the Water Settlement and Changing Residents‘ Awareness in Tonle Sap
Lake"

 カンボジアのトンレサップ湖に存在する水上集落では、下水道が整備されていないため、ボトルウォーターや湖水を利用して生活している。しかし、生活排水や排泄物を湖に垂れ流しにしているため、湖水使用による腹痛、下痢の症状が見られ、それらの症状による医療費や、ボトルウォーターの購入費への負担意識が大きいことが先行研究で判明しており、雨樋を設置して雨水を使うことでそれらを改善する活動を行っている。昨年度カンボジアに行き雨樋を作成した際、実費と理想額に40$程の差があることが分かった。そこで、本研究では、雨樋設置による意識の変化を観察し、住民に雨樋設置を積極的に考えてもらうことと、雨樋設置による利益の明確化を目的として活動を行った。その結果、雨水はそのままの状態では飲用できないが、飲用できれば4か月分のボトルウォーター代で雨樋費用を賄うことができると分かった。また、雨樋設置後に雨樋設置の理想額が10$引きあがったことから、雨樋に有用性を感じたことも分かった。

9-2 齊藤未宇(宮城県仙台二華高等学校)
「トンレサップ湖水上集落の雨水集積システムの改善」

"Improvement of the Rain Gutter System on Tonle Sap Lake"

 私はトンレサップ湖の水上集落が抱える衛生的かつ経済的な水問題を、雨水を集めることによって解決しようというプロジェクトの一環で、従来の雨水集積システムを見直す研究をしている。最終的な目標は雨水集積システムを現地に普及させ、現地の人達の力で水問題を解決することである。そのため、設置の簡易化と費用軽減が重要の課題である。
 昨年度に我々が実際に現地を訪れ設置した雨水集積システムのモデルは、180度にカットされた2メートル塩ビ管を2本繋ぎ合わせて雨樋を作り、それにL字管・縮小管・ビニール管(ホース)を繋いで20リットルのタンクに雨水を集めるものだ。この設置には約45ドルかかっており、工具も使用したため、改善すべき点がまだ多い。現在はタンクを無料のボトルに変え、ビニール管をボトルに繋ぐ研究に取り組んでいる。今後は工具の使用を抑える方法や、集めた水の水質について研究を進めている。

9-3 馬場彩花(宮城県仙台二華高等学校)
「バイオトイレの普及においた有機堆肥の抵抗感と情報格差の関係性について

"Relationship between the Sense of Resistance against Organic Compost and the Information Gap"

 カンボジアシェムリアップ州の農村、アンコール・クラウ村では上下水道の整備がされておらず、衛生的なトイレの環境が整っていない。村内のトイレ保有家庭は全体の4割に留まっており、残りの住民は野外排泄を行っている。それらの不衛生なトイレ環境が感染症や下痢などの健康被害を引き起こしている可能性が高いと考えられる。
 そのため本校では水を使わずに排泄物を分解できるバイオトイレを現地に普及させ、健康被害を縮小させようとしている。
 普及には現地住民の理解が必要不可欠である。バイオトイレで処理された排泄物は堆肥として使用することができるため、現地の人が人糞の堆肥を農業に用いることに対して抵抗感を持っているのか、また都市部と農村部間で起こる情報格差によってその抵抗感は変化するのかというテーマで研究を行う。現地住民の生活状況、有機堆肥に対する抵抗感の有無と情報提供後の抵抗感の有無の変化についてアンケート調査を行い検証する。

9-4 丸山千智(宮城県仙台二華高等学校)
「カンボジアの貧困家庭への新規設置に適したトイレの形式は何か」

"Which Kind of Toilet is Suitable for Installing in Poor Houses in Cambodia?"

 カンボジアには上下水道が整備されておらず、また貧困のため家庭にトイレがなく野外排泄を行っている例もある。そこで、水や電気を使わずに排泄物を衛生的に処理するトイレをカンボジアの貧困家庭に設置しようと考えた。バイオトイレは、排せつ物を好気性微生物によって分解処理するトイレであるが、カンボジアの人々は排泄後に水でお尻を流す習慣があり、水分量が多くなってしまい処理が適切に行えないのではないかと考えた。ほかに、し尿と便を別々に集め、太陽熱によって便を乾燥させて処理するエコサントイレ(エコロジカル・サニテーショントイレ)が貧困地域に導入されている。従来型のバイオトイレと違って、排せつ物処理の際に攪拌を必要としないエコサントイレのほうが途上国への設置に適しているのではないかと考え比較研究を行った。安全性・利用時の手間・管理の手間・設置費用・維持費用の5つの観点で論文調査による比較とインタビュー調査による検討を行った。

9-5 齋藤萌恵(宮城県仙台二華高等学校)
「カンボジアにおける身繕い習慣の有無と日本との差異について」

"On the Existence of Personal Habits in Cambodia and the Difference from Japan"

 化粧習慣と人の心理との結びつきについて研究する学問が化粧心理学である。私は「化粧」と「心理」という2要素について研究するこの学問に関心を持ったとともに、実際に現地を訪問する機会があったカンボジアには日本同様の身だしなみ習慣が存在しているのか、また日本と比べた時どのような差があるのかについて調べたいとテーマを設定するに至った。
 研究では主に日本とカンボジアの中学生を対象としたアンケート調査の結果を使用し、補足としてカンボジアの女性を対象にインタビュー調査も実施した。結果として、カンボジアの身づくろい習慣は「洗顔・入浴」「健康状態の認識」「フレグランス使用」などについては日本と同様の内容が認められたのに対し、「日焼けへの忌避感」や特に男子における「美容への関心」には両国で大きな差がみられた。
 今後の方針としては調査項目をさらに絞り、より深い内容となるように吟味していく予定である。また、先行研究を収集し研究意義や方法などをより精査していきたい。