2019年6月10日

6/29 発表要旨(5)

高田知仁(サイアム大学・タイ日文化研究センター長)
「ラオスで見つかったクメール様式の仏像-ルアンプラバーンを中心として」

TAKATA Tomohito
"Khmer Style Buddha Statues Found in Laos, Especially Those from Luang Prabang"
 
 クメール王朝が現在のカンボジア領外のどこまで力を及ぼしていたのか、それは政治権力だったのかあるいは文化的影響力のみだったのか議論がある。この様な論点を検討する1ケースとして今回はクメール文化とは縁がないと見られているラオス北部の旧都ルアンプラバーンで見つかったクメール様式の仏像を取り上げ、その様式的な検討とクメール文化流入の経路の推定を行いたい。
 ルアンプラバーンでは、クメール様式の仏像が寺院およびロイヤルパレス博物館の収蔵庫にあることが調査によって確認できた。しかしこれらの仏像が本来安置されていたはずの宗教施設つまりクメール式の祠堂建築は見つかっていない。また、ルアンプラバーンではほとんどの仏像が15世紀以降のものと見られ、12世紀に遡るクメール様式の仏像をどう解釈したらいいのだろうか。
 以上のような点から、これらのクメール仏の詳細を検討しておくことは重要である。また、ラオス国内でのクメール遺跡の分布など考古学的な情報等についても意見交換ができたらと考えている。