2010年1月4日

1/23 東南アジア学会、関東例会

東南アジア学会関東例会1月例会(1月23日開催)の案内をお送りいたします。今回は木村昌孝会員による「フィリピン下院議員選挙における政党名簿制(Party-List System): 議席配分方法と参加資格をめぐる諸問題を中心に」、および佐藤恵子会員の「バライの象徴性: アンコール碑文からの検討」の2報告です。詳細は下記をご覧ください。多くの方々のご来場をお待ちしています。

<1月例会>
日時: 2010年1月23日(土)13:30~17:45
会場: 上智大学2号館5階 510会議室 
http://www.sophia.ac.jp/J/sogo.nsf/Content/campusmap_yotsuya
http://www.sophia.ac.jp/J/sogo.nsf/Content/access_yotsuya
*当日は土曜日のため、正門(真田堀グラウンド側)しか開いていません。会場の2号館は、正門から入ってすぐ左側にある17階建て高層建造物です。

第一報告(13時30分~15時30分)

報告者: 木村昌孝氏(茨城大学人文学部)
コメンテーター: 五十嵐誠一氏(早稲田大学社会科学総合学術院)
報告題:「フィリピン下院議員選挙における政党名簿制(Party-List System):議席配分方法と参加資格をめぐる諸問題を中心に」

<報告要旨>
 フィリピン下院議員選挙における政党名簿制は、周辺化された社会セクターの声を議会に反映させることを目的として下院議員総定数の20%を選出するため1998年に導入された。しかしながら、これまで様々な問題が表面化し、その目的が十分に果たされていない。特に、比例代表の原理がうたわれている一方、1政党の最大議席数が3、議席獲得に要する最低得票率が2%に設定されているため、2009年最高裁判決まで議席が半数も満たされることがなかった。また、参加資格についても異なる立場が併存し、2001年には再審査の結果、参加政党の約7割が選挙後に失格となった。本報告は、政党名簿制導入の経緯、制度の性格及び問題点について考察する。

☆第二報告(15時45分~17時45分)

報告者:佐藤恵子氏(上智大学アジア文化研究所)
コメンテーター:石澤良昭氏(上智大学学長) 
報告題:「バライの象徴性:  アンコール碑文からの検討」

<報告要旨>
インドシナ半島を中心に、9世紀から15世紀にかけて勢力圏を築いたアンコールでは、最大のもので東西8km×南北2.1kmにおよぶバライとよばれる大型の人工貯水池が造営された。アンコール史研究が始まって1世紀以上が経つが、このバライが何故造営されたのか未だに共通の理解を得られていない。しかし、絶えず大量の労働者を投入した場合でも最低3年間かかると推察されているバライの造営は、造営者である王の治世における中心的な事業の一つであることは、碑文に記された造営年代と王の即位年代の重複から推察できる。アンコールの王は、バライをどのように意識していたのか。本発表では、現在カンボジアに位置する7基のバライ[王都(ロリュオス、アンコール地域)4基,地方(ベン・メリア、大プリア・カーン、バンテアイ・チュマール)3基]を対象に、アンコールの碑文からバライの象徴的意味を明らかにする。