2021年12月8日

12月11日、12日 2021年度東南アジア考古学会大会

2021年度の東南アジア考古学会大会はオンラインで開催いたします。

大会への参加にあたりましては事前登録が必要となりますので、下記をご確認のうえ、参加登録フォームからご登録ください。
本研究大会が実り多い学術交流の場となるよう、より多くの方々のご参加をお待ちしております。

        記

12
11日(土)会員自由研究発表 13:3016:40(開場13:15
12
12日(日)研究大会     10:0017:10(開場9:45
 テーマ:「扶南・林邑・真臘:編年の比較」
http://www.jssaa.jp/annualmeeting.html
開催方式:Zoomによるオンライン開催
参加登録はこちらから:https://forms.gle/TCW66J2JzEmp33wg8

※登録いただいたメールアドレスに参加のためのZoomリンク(1211日・12日共通)を自動返信メールでお送りします。メールが届かなかった場合はご入力されたメールアドレスが間違っている可能性がりますので、再度参加登録このフォームからお申込み下さい。あるいは、東南アジア考古学会事務局 ( jssaa[atmark]jssaa.jp ) までご連絡をお願いいたします。
1210日ごろ、参加者用の大会参加マニュアルを事前に公開いたしますので、ご確認の上、大会へご参加下さいますようお願いいたします。

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プログラム
会員自由研究発表(大会1日目:20211211日土曜日)
開会挨拶 13:30-13:40 山形眞理子(東南アジア考古学会会長)
【前半】司会:田畑幸嗣
発表1 13:40-14:20「日本出土・伝来クリスの位置づけとその重要性豊玉姫神社伝来クリスと円覚寺出土クリス
 鈴木一平(沖縄県立芸術大学 比較芸術学専修 修士課程)
発表2 14:20-15:00「カンボジア アンコール・トム内王宮の空間利用と変遷:王宮周壁の扉開口部と木造架構痕跡に基づく考察」
 下田麻里子(早稲田大学文学研究科 博士後期課程)
【休憩 15:00-15:15
【後半】司会:田代亜紀子(北海道大学)
発表3 15:15-15:55「土製ビーズが映し出すもの:1980年代のタイの事例から」
 中村真里絵(国立民族学博物館 外来研究員)
 
発表4 15:55-16:35「沖縄・石垣島における呪術的信仰実践に関する文化人類学的調査研究」
 齋藤正憲(白鷗大学)
 
閉会挨拶 16:35-16:40 丸井雅子(東南アジア考古学会副会長)

研究大会(大会2日目:212日日曜日)
テーマ:「扶南・林邑・真臘:編年の比較」
【午前の部】司会:菊池誠一
開会挨拶 10:00-10:10 山形眞理子(東南アジア考古学会会長)
基調講演1 10:10-11:10「六朝・隋唐期における江南・嶺南の発展と大陸東南アジア東部の初期国家群~東部ユーラシア広域史の観点から」
 桃木至朗(大阪大学文学研究科招へい教授)
【休憩 11:10-11:15
基調講演2 11:15-12:15「扶南の始まりと終り思い込みをすてて漢文史料を読む」
 深見純生(桃山学院大学元教授)
【昼休憩 12:15-13:10
【午後の部】司会:坂井隆
発表1 13:10-13:45「メコン中・下流域の古代国家」
 田畑幸嗣(早稲田大学)
発表2 13:45-14:20「真臘の王都イーシャナプラに見る歴史的痕跡の重層」
 下田一太(筑波大学)
【休憩 14:20-14:30
発表3 14:30-15:30「ベトナム南部・オケオ文化の編年に関する考察」
 グエン・カイン・チュン・キエンNguyen Khanh Trung Kien(ベトナム南部社会科学院)
 ※英語発表、日本語通訳有
発表4 15:30-16:05「考古編年からみた林邑:ベトナム中部における古代国家の形成」
 山形眞理子(立教大学)
【休憩 16:05-16:15
総合討論 16:15-17:05
閉会挨拶 17:05-17:10 丸井雅子(東南アジア考古学会副会長)
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皆様のご参加をお待ちしております。
大会に関するお問い合わせは事務局までお願いいたします。

山形眞理子(東南アジア考古学会会長)
菊池百里子(2021年度大会委員長)
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お問い合わせ(20214月より事務局が移転しました)
171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
立教大学学校・社会教育講座学芸員課程 山形眞理子研究室内
東南アジア考古学会事務局
E-mail: jssaa[atmark]jssaa.jp


Secretariat of Society for Southeast Asian Archaeology
C / O Appointed Professor Mariko YAMAGATA
Curator Course, Certification Programs, Rikkyo University
3-34-1, Nishi-Ikebukuro,Toshima-ku, Tokyo, Japan. Zip 171-8501
E-mail: jssaa[atmark]jssaa.jp

2021年12月2日

カルダモン山脈における開発・研究に関するエッセイ(2015年~2021年)

日本カンボジア研究会のメンバーの石橋弘之さんからカルダモン山脈における開発と住民に関するエッセイやメディア掲載情報をご提供いただきました。

 

エッセイ-カンボジア

石橋弘之 「カルダモンからみる水源林の開発と消失」森林環境研究会編・井上真・原田一宏責任編集『「森林環境2020」 特集・暮らしの中の熱帯』 , 公益財団法人森林文化協会, pp.40-41 , 東京,2020315,

https://www.shinrinbunka.com/wp-content/uploads/2020/03/3940d6b13008dc3e740d85cc9ada589e.pdf

 

石橋弘之「表紙は語る 踊りのお手本」『地球研ニュース』 78:16, 総合地球環境学研究所,京都, 20191031.

https://www.chikyu.ac.jp/publicity/publications/newsletter/img/newsletter_78.pdf

 

石橋弘之「地域間をつなぐ視点 上流の森から流域の環境問題に取り組む」『地球研ニュース』73: 12 , 総合地球環境学研究所, 京都 2018731.

https://www.chikyu.ac.jp/publicity/publications/newsletter/img/newsletter_73.pdf

 

石橋弘之 「フィールドワークでヒルと付き合う人を噛む生き物が育む感情、感覚、想像力」, 『サステナ』36: 142-147, 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構・地球持続戦略研究イニシアティブ,東京201571.

https://issuu.com/ir3s/docs/sasutena36

https://issuu.com/ir3s/docs/field-letter-all

 

 

メディア

※カルダモン山脈での開発による森林消失が先住民に及ぼす影響についてウェブメディアの取材を受けた記事です。

 

Peter A. Ford. In a threatened Cambodian forest, hand-in-hand push to protect land and people. The Christian Science Monitor. January 17, 20182021122日閲覧)

https://www.csmonitor.com/World/Asia-Pacific/2018/0117/In-a-threatened-Cambodian-forest-hand-in-hand-push-to-protect-land-and-people

 

 

エッセイ-アジア

※カンボジアのことを直接は扱っていないのですが、途上国と先進国をふくむアジアについて扱った記事です。

 

石橋弘之・田村典江「〈北〉と〈南〉を架橋する未来を求めて―IASC-RIHNワークショップ「アジアにおけるコモンズ・ポスト開発・脱成長」『環境と公害』50(4): 67-68. 岩波書店, 2021425.

https://www.iwanami.co.jp/book/b583117.html

 

 

田村典江・石橋弘之「「成長幻想」を転換する未来への道―アジアにおけるコモンズ、ポスト開発、脱成長」『Humanity&Nature Newletter地球研ニュース』84: 2-5, 総合地球環境学研究所, 京都, 2021322日.

https://www.chikyu.ac.jp/publicity/publications/newsletter/img/newsletter_84.pdf

 


ポーサット州農村漁村変化に関する特集号(2021年)

ポーサット州の農村漁村の変化に関する特集が、京都大学東南アジア地域研究研究所から刊行されている『東南アジア研究』に掲載されました。


「特集 カンボジア南西部ポーサット州農山漁村の変貌ー資源、コネクティビティ、市場経済」(『東南アジア研究』591号)

以下の5本の論文が、PDFでダウンロードできます。
https://kyoto-seas.org/ja/2021/07/tounan-ajia-kenkyu-59-1/

1
)生業からみた開発体制下のカンボジアの農村変容ーポーサット州での広域調査にもとづく一考察(小林知)

2
)カンボジア・ポーサット州における農業の変化とそのメカニズムー未利用資源の活用と外部からの資金調達(矢倉研二郎)

3
)カンボジアにおける灌漑導入が稲作の栽培と生産性に与える影響ーポーサット州における隣接する地区の比較に基づく検討(高堂泰輔他)

4
21世紀の開拓移住によるカンボジア南西部山地の変容ー移住者による農地拡大過程に関するリモートセンシング分析(星川圭介他)

5
)カンボジア西部カルダモン産地の地域史にみる「禁忌の森」の伐採と焼畑休閑地の権利(石橋弘之)

2021年11月14日

11月27日、28日 第15回日本カンボジア研究会 プログラム

第15回 日本カンボジア研究会 プログラム

期日:2021年11月27日(土)、28日(日) オンライン(Zoom)開

<2021年11月27日>

13:00-13:10 趣旨説明


13:10-14:10 発表(1) 矢倉研二郎(YAGURA Kenjiro)阪南大学

「カンボジアにおける若年層の急速な脱農化の要因―2つの稲作農村出身の既婚農村子弟に関する事例研究」

“Factors promoting the rapid de-agrarianization of Cambodian rural youth: A Case study of married children from two rice villages”

発表要旨は、こちら


14:10-15:10 発表(2) 田畑幸嗣(TABATA Yukitsugu)早稲田大学

「扶南・真臘・アンコールをどのように捉えるか」

“Funan, Chenla, and Angkor: Reviewed from recent perspectives”

発表要旨は、こちら


15:10-15:20 休憩


15:20-16:40 笹川秀夫さん追悼セッション

今年4月に、『アンコールの近代:植民地カンボジアにおける文化と政治』(中央公論社、2006年)などで知られるカンボジア研究者の笹川秀夫さんが急逝されました。本セッションは、生前に笹川さんから受けた助言や、その研究から受けたインパクトを複数の立場から振り返り、その業績をしのび、継承する場とします。

登壇者(順):

羽谷沙織(HAGAI Saori)立命館大学

日向伸介(Hinata Shinsuke)大阪大学

石橋弘之(ISHIBASHI Hiroyuki)早稲田大学

新谷春乃(SHINTANI Haruno)日本貿易振興機構アジア経済研究所

小林知(KOBAYASHI Satoru)京都大学

北川香子(KITAGAWA Takako)学習院女子大学


16:40-17:00 参加者の意見交換・交流


<2021年11月28日(日)>


13:00-14:00 発表(1)中野惟文(NAKANO Korefumi)東北大学大学院文学研究科博士課程

「呪術実践を頼るということ―現代カンボジア社会における事例から」

“Relying on magic practices : The case in modern Cambodian society”

発表要旨は、こちら


14:00-15:00 発表(2)新谷春乃(SHINTANI Haruno)日本貿易振興機構アジア経済研究所

「1993年以後のカンボジアにおけるメディアの政治・社会的状況」

“Political and Social context of Media in Cambodia since 1993”

発表要旨は、こちら


15:00-15:10 休憩


15:10-16:00 現地報告 坂野一生(SAKANO Issei) カンボジア司法省

「カンボジアにおけるCOVID-19の状況」

11月27日 発表(1)要旨

 矢倉研二郎(YAGURA Kenjiro)阪南大学

「カンボジアにおける若年層の急速な脱農化の要因―2つの稲作農村出身の既婚農村子弟に関する事例研究」

“Factors promoting the rapid de-agrarianization of Cambodian rural youth: A Case study of married children from two rice villages”

 カンボジアでは近年,若年層を中心に農業就業者の減少が急速に進んだ.本研究ではポーサット州とプレイヴェーン州の2つの稲作農村で2009年と2020年に収集された世帯主の既婚の子どものデータを分析することで,この2時点間における若年層の脱農メカニズムの解明を試みた.その結果,農地相続面積の減少や学歴の上昇の効果は大きくはなく,出稼ぎ先で知り合った相手との結婚の増加が農業従事者比率低下の約4分の1を説明する大きな要因であることが明らかになった.これは,独身者による出稼ぎという形態での非農業部門への就業の増加そのものではなく,それによる通婚圏の拡大が結婚後の非農業就業を促進して脱農を加速化させたことを意味する.

 さらに,2020年のデータにおいては,親の農地所有面積が小さいほど出稼ぎ先で知り合った相手と結婚する確率が高い傾向がみられた.これは,結婚後に親から相続できる農地が少なく農業で生計を立てることが困難と予期した若者が,結婚後に非農業に従事することも念頭において出稼ぎ先で出会った相手との結婚を意識的に選択した可能性を示唆する.

11月27日 発表(2)要旨

 田畑幸嗣(TABATA Yukitsugu)早稲田大学

「扶南・真臘・アンコールをどのように捉えるか」

“Funan, Chenla, and Angkor: Reviewed from recent perspectives”

 前アンコール時代、アンコール時代、 後アンコール時代という区分は、元々は美術史で様式を分類するための研究上の単なる工夫であったが、カンボジア史の区分として定着し、現在でも用いられている。前アンコール時代とは扶南・真臘という古代国家を指し、9世紀から15世紀が栄光のアンコール朝、その後の凋落と衰退の後アンコール時代から植民地時代へ至るのが、一般的なカンボジア史理解であろうし、そのことは博物館の展示方法などにもよく現れている。

 近年は、凋落と衰退の後アンコールという時代理解に批判的な研究が主流となりつつあるが、扶南→真臘→アンコールという、フィノを経てセデスによってほぼ完成された古代カンボジの歴史観・国家観については、以前から見直しが迫られているにもかかわらず、他分野の研究者には十分注意を払われているとは言い難い。そこで今回は、扶南・真臘・アンコールとはどのような国家なのか、またそれらの連続性をどのようにして捉えるのかについて、これまでの様々な調査研究成果をもとに報告したい。

11月28日 発表(1)要旨

  中野惟文(NAKANO Korefumi)東北大学大学院文学研究科博士課程

「呪術実践を頼るということ―現代カンボジア社会における事例から」

“Relying on magic practices : The case in modern Cambodian society”

 本発表の目的は現代カンボジア社会における呪術実践に焦点を当てて、クライエントが呪術実践を選択して頼る要因を明らかにすることだ。現代カンボジア社会には呪術実践を行うクルー・クマエが数多くいる。彼らは骨接ぎ、マッサージ、薬草処方などそれぞれの分野に特化・専門化している。クルー・クマエの呪術実践は、クルー・クマエとクライエントだけでなく見物人もいる空間で行われていた。

 発表者は2018年から2020年1月まで断続的に行った現地調査で、クルー・クマエによる呪術実践の観察とクライエントへのインタビュー調査を行った。これらの調査結果からクライエントが呪術実践を頼る要因が次の2点であることを明らかにした。①怪我や病気を抱えるクライエントの多くは、病院・薬局などで治らなかった際の最後の選択肢として呪術実践を頼っていた。②それまでのクライエントの経験・知識に結びつくように呪術師と見物人の双方が呪術実践を解説して呪術にリアリティを与え、クライエントが呪術実践を「理解して」頼るようになった。本発表では呪術実践の具体的事例とその分析から①②について述べる。

11月28日 発表(2)要旨

 新谷春乃(SHINTANI Haruno)日本貿易振興機構アジア経済研究所

「1993年以後のカンボジアにおけるメディアの政治・社会的状況」

“Political and Social context of Media in Cambodia since 1993”

   本研究は、カンボジアが複数政党制・立憲君主制へ移行した1993年以降のカンボジアのメディアを取り巻く政治的・社会的状況の変遷を明らかにすることを目的としている。研究方法としては、主に日本国内やインターネット上で収集可能な資料(官報、現地紙、報告書等)を収集し、言論環境をめぐる法制度の変遷、マスメディア状況、取り締まり・攻撃事例の検討を通して、1993年から2020年にかけての言論環境の変遷を3つの時期区分に分けて概観する。第1期は黎明期にあたり、メディアを保護・規制する法制度が整備され、様々な政治的志向を持つメディアの活動が活発化した一方、ジャーナリストや新聞社に対する暴力的・法的攻撃が急増した。第2期は、引き続き様々な政治的志向を持つマスメディアの活動が活発に行われるなか、ジャーナリストに対する攻撃として暴力的なものが減少し、法的手段中心へと移行した。第3期は、インターネットの利用が拡大する中、自由な言論空間として注目されたソーシャルメディア等を規制する法制度や取り締まりが強化され、政府批判も厭わない新聞社やラジオ局が閉鎖に追い込まれ、一般人の言論活動も監視対象となった。