2010年9月4日

9/11 第2回プノンペン部会、要旨4

上村 未来(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科
地域研究専攻 博士前期課程)
「カンボジア市民社会の役割に関する一考察
-人権NGO、ADHOCの土地問題の取り組みの事例から-」

報告者の最大の疑問は、これまでカンボジアにおける市民社会組織は政府に対する影響力に限界があると認識されてきたが、本当にそうなのであろうか、ということである。
これまでの「市民社会組織の政府に対する影響力には限界がある」という認識は、「市民社会」と「政府」という二項対立的な枠組みにもとづいており、それ以外のセクターとの関係がどのようなものかという実態が見えにくい。
しかし、実際にNGO内部に入って活動してみると、市民社会の一部である「NGO」と「政府」という二つのセクターだけでは語りきれない構造が見えてきた。NGOからは、政府に対して「直接」影響力を行使しようとする以外に、メディアや被害住民、他のNGOとの連携、そして国際社会、国際機関への発信や連携など、様々なセクターとの関係を使って問題解決を図ろうとする姿が見られた。
報告者は2010年3月から継続的にカンボジアの人権NGO、ADHOC(Cambodian Human Rights and Development Association)土地・自然資源問題部門での調査を実施している。本報告では、同NGOの土地問題への取り組みの事例に焦点を当て、様々なセクターとの関係を使って政府に対する影響力を行使しようとするNGOの実態を、これまでの調査・観察をもとに検証する。さらに、この検証によってカンボジアの市民社会組織の社会的役割についての考察を試みたい。

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