発表要旨(8) 北川香子 Kitagawa Takako
「阮朝期(19世紀中葉)クメール・クロム村落の字喃-クメール併記文書について」
“Chu Nom - Khmer documents of Khmer Krom villages under Nguyen Dynasty (mid 19th century) ”
ギメ美術館所蔵文書Fonds chinois 74453-3および7には、紹治七年(1847年)の字喃・クメール文字併記文書8点が含まれている。1点は同一のベトナム語文が字喃とクメール文字で記されており、それ以外は字喃でベトナム語文、クメール文字でクメール語文が記されている。またベトナム第2国家公文書館は、字喃表記のベトナム語文とク メール文字表記のクメール語文が併記された、1868年の巴川府豊盛縣盛和總安息村の土地人丁台帳を所蔵している。報告者は現在、学習院大学東洋文化研究 所の一般研究プロジェクト「ベトナム・阮朝アーカイブズに関する基礎的研究」の一環として、慶應義塾大学言語文化研究所の嶋尾稔教授とともに、これらの解読作業を進めている。本研究会では上記の字喃・クメール文字併記文書の概要と、現時点での解読成果を報告したい。