2015年5月21日

6//21 第9回日本カンボジア研究会、発表要旨7

木口由香(特定非営利活動法人メコン・ウォッチ)
「セサン下流2水力発電事業で懸念される環境社会影響について」

セサン下流2水力発電所 (LS2)は、カンボジア北東部ストゥントレン州、メコン河の支流セサン川に建設中の大規模ダムである。予定地は、セサン川とスレポック川の合流地点から約1.5km下流、両河川がメコン河本流と合流する約25km上流に位置する。2012年11月、カンボジア政府はLS2の建設を承認しているが、建設されればメコン河下流域全体の漁業や生態系に甚大な影響を及ぼす可能性がある。2012年に米国科学アカデミーの紀要が掲載した論文は、このダムによって、メコン河流域に生息する魚類の9.3%が減少し、50種以上が絶滅の危機に瀕すると予測した。また、ダムは流下する堆積物の量を約6~8%減少させ、メコン河とトンレサップ湖に大きな環境影響を与えることも懸念されている。しかし、このような影響は、カンボジア国内で十分議論されておらず日本でも知られていない。本報告では、この事業の現状について報告し、問題所在について議論したい。

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