2015年5月21日

6/21 第9回日本カンボジア研究会、発表要旨5

上村未来(上智大学アジア文化研究所共同研究所員)
「カンボジアにおける土地をめぐる政治 -2012年土地所有権分配政策の意図と波及性-(仮)」

近年のカンボジアにおける土地問題の状況を背景に、カンボジア政府は、2012年5月 から6月にかけて土地政策を相次いだ発表した。中でも農村部における土地所有権 分配キャンペーンは、数千人の大学生ボランティアを動員して行われ、注目を集めた。 申請者は拙稿(近刊)において、政策文書や首相の政策方針演説を詳細に分析した結果、その目的は翌年の総選挙に向けた支持調達戦略の一部であったことを明らかにした。しかし、資料の制限から、具体的な政策の実施地域には言及できず、土地政策がいかに選挙結果に影響したのかまでは触れることができなかった。
政策の実施地域に関する資料は公開されておらず、筆者も未入手のため、 今後取り組む予定ではあるが、現時点において政策の選挙結果への影響について実証的な分析はできない。しかし、少なくとも明らかになのは、土地問題を抱える地域は政策の対象外になっていたということである。申請者が2010年から調査してきた土地問題の地域も政策の対象外であったが、2013年の選挙においてこの地域は与党が辛勝し、周囲の予想を裏切る結果となった。なぜなら、同地域では、前年の地方選挙で与党が惨敗し、土地問題の政治的影響が大きいと考えられていたからである。本報告ではこの地域における2012年から2013年の選挙結果の変動の背景を、申請者の現地調査結果から明らかにすることを試みる。

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