2018年6月11日

6/30 発表要旨(3)

藤本穣彦(静岡大学)
Dr. Fujimoto Tokihiko, Shizuoka University

プレック・トノット川流域システム ―社会技術論からのアプローチ―
Evaluating Existed Infrastructures and Networks about the PREK THONOT (Cambodia) Water Resource Development and Management Project

 本報告が研究の対象とするのは、カンボジア王国において1950年代末~内戦期に計画された、「日本主導の」多国間援助による河川開発プロジェクト「プレック・トノット(川)電力開発灌漑計画」である。工事は内戦で中断した。内戦終了後に幾度か再構成が試みられたものの、全体計画はストップしたままであり、現在も未完のプロジェクトである。
 本報告の目的は、現在の視点から、プレック・トノット流域システムの全体性を評価することにある。それは、未来への可能性(プレック・トノット計画の再構成あるいはリジェクト)のために、課題とアプローチを整理することを意味する。本報告にあたっては、当時の工事関係者との現地調査やネットワークの発掘を、2016年3月21~27日、2017年3月25~28日、2017年7月15~25日に行った(広島大学・友次晋介准教授との共同調査)。現地調査で得られた資料と図面、対話の記録を分析した結果に基づいて報告する。