2012年6月4日

7/8 第6回日本カンボジア研究会、発表要旨(5)

カンボジア・プレアビヒア州の保護区における食肉目動物の保全について

鈴木愛(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

カンボジアは生物多様性が高いインド-ビルマホットスポットと呼ばれる地域の一部である。カンボジア北部では、トラやアジアゾウなどの哺乳類、世界でも希少なオニトキを含む260種を超える鳥類など多数の野生動物が確認されている。しかし、これらの動物の生息地でもある森林の面積は減少傾向にあり、保護区も例外ではない。
現在、カンボジア北部に位置する二つの保護区では、保全優先地域に重点をおいた景観レベルでの保全が行われているが、保全優先地域の周辺に位置する緩衝地帯(バッファーゾーン)においても、野生動物は多く生息していると考えられる。この緩衝地域における野生動物の保全においては、人との共存は重要な課題の一つである。特に人との軋轢が多い分類群である食肉目動物の保全にとっては難しい課題でもある。
そこで本発表では、カンボジアの野生動物保全の概要と、その具体例として、カンボジア・プレアビヒア州の保護区における保全について紹介する。そして、今後の展開として、バッファーゾーンにおける地域住民と食肉目動物の共存に関する研究について言及する。