矢倉研二郎(YAGURA, Kenjiro)阪南大学
「21世紀のカンボジアの経済成長―外国の資源・機会の活用とその限界―」
“Cambodia’s economic growth in the 21st century: utilizing foreign resources and opportunities and their limitations”
(発表要旨)
本発表では、これまでの研究成果ならびに現在進行中の研究をふまえて、21世紀におけるカンボジアの経済成長のメカニズムとその背景、限界について論じる。研究が依拠するのは、カンボジア政府統計(人口センサス、社会経済調査、農業統計)、国際機関の統計(FAOSTAT、UNCOMTRADE ILOSTAT)、ならびに報告者がカンボジアで収集した農村家計データである。
カンボジア経済は21世紀に高成長を続け、貧困率も大幅に低下したが、それを可能にしたのは外国の資源や機会(市場、資金、その他の経営資源)の活用である。外国の資源や機会を活用した発展は、製造業や農業、金融、労働分野、インフラ整備で顕著であり、かつそれらの間に好循環が存在した。カンボジアの歴史、国の規模、隣国の経済発展を含む国際的経済環境がその背景にある。
しかし、こうした外国依存の経済成長は、人的資本投資の停滞と、カンボジアの後進国としての地位の固定化を招き、産業の高度化と多角化を阻害しており、このままでは2050年までの先進国入りという政策目標の達成は困難と考えられる。