2009年11月16日

第1回カンボジア特集研究会の記録

 この研究会の母体となった第1回カンボジア特集研究会は、2007年11月3日(土)~4日(日)、京都大学東南アジア研究所の所内研究会である「大陸部新時代」研究会として開催されました。

 すでに終了した研究会ではありますが、どのような発表がなされたかを示す記録として、以下に研究会の案内を掲載いたします。

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第一回「大陸部新時代」研究会のご案内を差し上げます。

今回は、カンボジア研究の特集です。ご多忙中と存じますが、ぜひご参集ください。

【開催日】 2007年11月3日(土)~4日(日)
 ※ 詳細は以下のスケジュールをご参照ください

【場所】京都大学 本部構内 工学部4号館4階会議室(AA447)

【スケジュール】
<11月3日(土)>
1:30~2:00 趣旨説明など

2:05~2:45 
神田真紀子(東京大学大学院 人文社会研究科 博士課程)
「保護領政権下のベトナム人リクルートについての一考察」

2:50~3:30
山田裕史(上智大学大学院 外国語学研究科 博士後期課程)
「カンボジア人民党による「一党支配型」権威主義体制の構築: パリ和平協定後の「国家政党」への変容」

3:35~4:15
松井生子(広島大学大学院 社会科学研究科 博士後期課程)
「カンボジアの地方権力とベトナム人: Prey Veng州Peam Chor郡B村の事例から」

4:20~5:00
朝日由実子(上智大学大学院 外国語学研究科 博士後期課程)
「カンボジアにおける伝統染織関連産業の興隆: 消費社会化、グローバル化による影響を中心として」

5:05~5:45
正楽藍(神戸大学大学院 国際協力研究科 学術推進研究員)
「カンボジアの教育発展: 基礎教育拡充と学校教育をめぐる諸課題」

5:50~6:20
討議

6:30~ 懇親会

<11月4日(日)>
9:40~10:20
小林知(京都大学東南アジア研究所)
「再生から変容へ: ポル・ポト時代以後のカンボジア農村社会の復興について」

10:25~11:05
堀美菜(東京大学大学院 農学生命科学研究科 博士課程)
「トンレサープ湖における小規模漁業の役割: コンポントム州とコンポンチュナン州の事例」

11: 10~11: 50
柳星口(上智大学アジア文化研究所 客員研究員)
「カンボジアにおける漁業紛争と漁業改革: 1990年代以降のトンレー・サープ湖地域の事例を中心として」

11:55~12:35
野口博史(南山大学総合政策学部)
「カンボジア歴史地域調査報告: 調査概念と方法論を中心として、2004~2007年」

12:40~13:30
討議・総括

以上

(趣旨)
本研究会は、東南アジア大陸部における地域像の解明を目的とします。タイ研究を唯一の例外として、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー(ビルマ)といった国々における臨地調査の実施は、長らく、ごく限られたものでした。しかし、1990年代以降徐々に門戸が開かれ、大学院生を中心とした若手研究者が留学・調査に赴いています。その後、現地社会の政治的状況の変化に即した形で調査活動の種類と範囲に変動がみられるものの、大勢としては、新たな資料や視点による研究成果の蓄積が進んでいます。
 本研究会は、院生を含む若手を中心に、人文社会系だけでなく自然科学系の研究者もあわせて招聘し、地域(村落、地方社会、国家)を対象とする学際的な議論の場を設け、その総合的な把握を試みます。初回にあたるこの度の研究会では、カンボジアを特集します。カンボジアで実地調査が再開したのは、国連主導で統一選挙が実施された1993年以降です。以後、まずパイオニア的な実態解明の研究が進みました。1990年代末からは、政情の安定とグローバルな経済状況との接合を背景とした現地社会の変化にともない、研究の対象・スタイルの多様化が顕著になりました。また、王立文書館をはじめとした現地のアーカイブが活用されるようになり、新たな文書資料の発掘も進んでいます。
 今回は、専門分野に限定を設けず、近年カンボジアに赴き現地調査を行ってきた(いる)研究者を広く集め、オープンなフォーラム形式で討議を行います。そして、今日のカンボジア研究の全体像を確認し、およびそれが捉えようとする(している)カンボジア社会の現在について意見を交換するだけでなく、独特な文化・歴史経験をもつ対象としての「カンボジア」の固有な性質と状況に関して発展的な議論を生みだすことをめざします。