岡山理科大学総合情報学部社会情報学科、地域分析研究会
第33回研究会 案内
◇テーマ カンボジアにおける農村経済と社会調査
-農村をめぐるフィールドワーク-
カンボジアでは、1970年以降、内戦が激化し、長らく臨地調査を含む研究が中断されてきた経緯がある。1990年代半ば以降、政情・治安ともに安定し、農村調査も徐々に実施されるようになってきている。
今回、東南アジアにおけるフィールドワークをもとにした農村経済に関する社会調査事例を紹介する。
◇日 時 2010年7月1日(木) 15:15~17:30
◇場 所 岡山理科大学 21号館 7階 会議室
岡山市北区理大町1-1
◇プログラム
コーディネーター・司会:徳澤啓一
(岡山理科大学大学総合情報学部社会情報学科)
15:15- 「カンボジア南部における伝統的土器製作」
徳澤啓一(岡山理科大学総合情報学部社会情報学科)
2009年11月、カンボジア南部のタケオ州及びカンポート州における伝統的土器製作の存否確認調査を行った。1950~1960年代、カンボジア国内では、18地域57ヶ所で土器製作が存在していたものの(Mourer1968など)、カンボジア内戦とその後の農村変革によって、伝統的土器の需要が減退し、多くの村寨で土器製作が停止されてしまった。こうした中で、カンボジア南部では、タケオ州チャンラックダイ村及びカンポート州ダムナックチョンボック村の2カ村でしか伝統的土器製作が遺されていない。また、近年、コンポンチュナン州を中心とする中部産土器とキエンザン省及びアンザン省のベトナム南部産土器に席巻され、南部産土器の生産が急速に縮退している。こうした背景には、他地域産土器がシェアを伸ばしてきていること以上に、幹線道路の整備や自動二輪車及び自動車の普及によって、安価で機能性が高いプラッチック及び金属製の工業製品が移入されていることがあげられる。本報告では、農村部の社会的・経済的・文化的変容と関連付けながら、伝統的土器製作の変容・消失の過程についても考えてみたい。
16:15- 「カンボジア南東部における絹織物業の生産形態とその変化」
朝日 由実子(上智大学非常勤講師・同アジア文化研究所共同研究所員)
本報告では、カンボジア農村部を代表する手工業である手織物業の生産形態について、特に市場経済化が進む1990年代以降の変化の在り方を中心に考察する。具体的には、報告者の調査地である同国南東部プレイ・ヴェーン州、シトー・コンダール郡、PL村の事例より述べる。カンボジアにおける主要な織物産地のひとつは、かつて養蚕や綿花栽培をしていたとされるメコン河およびその支流沿いの村落である。PL村は、その中心的な村落であり、織物業の生産組織の検討のみならず、メコン河沿いの村落社会の特質を検討する上でも興味深い地域である。
17:15- 質疑応答
無 料
■ 連絡先
徳澤 啓一(地域分析研究会代表者)
岡山理科大学 総合情報学部 社会情報学科
〒700-0005 岡山市北区理大町1-1