2010年5月9日

5/24 東南アジア考古学会、第205回例会

今回は東南アジアで土器作りをはじめとする、さまざまな工芸の民族考古学調査をおこなっている徳澤・平野両氏にご発表いただきます。昨年の11月におこなったカンボジア南部のタケオ州及びカンポート州における伝統的土器製作の存否確認調査にもとづいたご研究です。みなさま、ふるってご参加ください。

発表題目
カンボジア南部におけるクメール族の伝統的土器製作  ‐確認調査の成果を中心として‐

発表者:徳澤啓一(岡山理科大学)・平野裕子(上智大学アジア文化研究所)

日 時:2010年5月24日(月)18時~20時 
場 所:昭和女子大学 研究館7階 7L04教室
      (三軒茶屋より徒歩10分)

発表者より
 本報告は、2009年11月にカンボジア南部のタケオ州及びカンポート州において行った伝統的土器製作の存否確認調査に基づいている。1950~1960年代、カンボジア国内では、18地域57ヶ所で土器製作が存在していたものの(Mourer1968など)、カンボジア内戦とその後の農村変革によって伝統的土器の需要が減退し、多くの村寨で土器製作が停止されていた。カンボジア南部では、タケオ州チャンラックダイ村及びカンポート州ダムナックチョンボック村の2カ村で伝統的土器製作が遺されてた。しかしながら、近年、コンポンチュナン州を中心とする中部産土器と、ベトナムのキエンザン省及びアンザン省産土器に席巻され、生産が急速に縮退している。こうした背景には、他地域産の土器が現代的技術を取り入れ生産量を増大させていることに加えて、幹線道路の整備や自動二輪車及び自動車の普及による物流の拡大がある。本報告では、カンボジア南部・中部、そしてベトナム南部産土器の製作技術の関係や市場における位置等をふまえ、整理を行いたい。