リム・リーホン (LIM Lyhong) 王立法律経済大学, Royal University of Law and Economics
「カンボジアにおける諮問勧告高等評議会の意義と問題点」
“The Significance and Issues of the Supreme Council for Consultation and Recommendations in Cambodia”
(発表要旨)
本報告では、カンボジアにおける諮問勧告高等評議会(SCCR)の意義と成果、問題点を明らかにする。SCCRは2018年、カンボジア人民党(CPP)が全勝した総選挙の直後に設立された。SCCRは、16の政党で構成され、カンボジア政府の顧問としての役割を果たしてきた。その基本的な役割は、政策の立案、必要な法律や規制の制定、政府への勧告、そして、法令やすべての政府機関の政策の施行を監視することである。
本報告ではまず、SCCRの概要、その構成員、役割、政府との関係について紹介する。次に、SCCRのこれまでの意義と成果を明らかにする。最後に、SCCRの問題点として、制度自体に関する問題、民主主義に対する効果の問題、そして、カンボジアの議院内閣制における国民議会による政府への「統制」の機能をさらに弱める恐れがあるという問題を指摘する。
なお、本報告は、拙稿「カンボジアにおける諮問勧告高等評議会の意義と問題点」『Nagoya University Asian Law Bulletin』第7号(2022年)47-58頁、に基づく