2011年12月9日

12/10 上智大学グローバル・コンサーン研究所国際シンポジウム「教育は社会を再生する力をはぐくむか:グローバル化のなかの大学を考える」

第31回国際シンポジウム(ソフィア・シンポジウム)
「教育は社会を再生する力をはぐくむか:グローバル化のなかの大学を考える」
http://www.erp.sophia.ac.jp/Institutes/igc/pdf/20111210kokusaisympo.pdf

日時:2011年12月10日(土)10:00-17:45

場所:上智大学2号館17階、国際会議室

主催:上智大学グローバル・コンサーン研究所/国際基督教大学社会科学研究所

<概要>

上智大学は、激動する現代世界に向かって広く窓を開き、人類の希望と苦悩をわかちあい、世界の福祉と創造的進歩に奉仕することを教育理念に掲げています。

2010年度に社会正義研究所を改組し誕生したグローバル・コンサーン研究所は、こんにちの社会科学研究の主流を形成する客観主義アカデミズムの傾向に与することなく、他者とともに立つ(with Others)ことを旨とする上智学派の伝統の継承と刷新を目指し、グローバル化する社会のなかで人間の尊厳と連帯をもとめる指針を明確に打ち出し、研究や意識化、実践活動に取り組んできました。

国際基督教大学もまたその使命として、学問を通じて得られる知識はそれ自体が最終目的ではなく社会改善の責任をともなうべきものであることを明確にしています。
両校主催による本年度の国際シンポジウムでは、Education with a Social Dimensionを中心テーマに据えます。

こんにち新自由主義を旗印に、日本を含めた先進地域と発展途上地域の双方で貧困や暴力などによる人間性の蹂躙が行われているなか、大学はグローバルな視点から対抗の可能性を模索する実践活動と連携することができるのか。

また、教育研究活動を通じて、いかに困窮者たちの主体性と尊厳にむきあい、人間や共同体相互の連帯をもとめることができるのか。企業や経済の論理が席巻する今、大学の社会的役割を問い直します。

<プログラム>

10:00 開会

10:20-12:30 基調講演

『正義と共感に基づいた持続可能な世界のための教育』 
マーク・レイパー(イエズス会アジアパジフィック協議会会長)

『大学の社会的責任』 
フランシスコ・デ・ルー(イエズス会コロンビア管区管区長)

13:30-15:30 パネル・ディスカッションⅠ

『「個人的なもの」から「社会的なもの」へ:私たちは学生をその高みに押し上げる』 
筒井美紀(法政大学キャリアデザイン学部准教授)

『国家を迂回して:カンボジアの少数民族の教育機会均等のためのNGOと大学のグローバル・パートナーシップ』 
ウォルター・ドーソン(国際基督教大学教養学部准教授)

『NGO活動・市民運動そして大学―温かい心を大学に―』 
村井吉敬(上智大学グローバル・コンサーン研究所所員)

15:50-16:00 共同の祈り

ポール・ジョンソン(国際基督教大学牧師)

ホアン・アイダール(上智大学グローバル・コンサーン研究所副所長)

16:00-17:30 パネル・ディスカッションⅡ

17:30-17:45 閉会

18:00- レセプション

***海外からのゲストスピーカー紹介****

【Fr. Mark Raper SJ(マーク・レイパー)】

2008年よりイエズス会アジアパシフィック協議会会長。1980年代よりアジアにおけるイエズス会難民サービス(Jesuit Refugee Service)初代代表として、また2000年まで国際代表として、20年にわたり難民支援を行う。強制的に排除された人々と共に歩み、彼らの権利に奉仕し、それを守るという使命をもつイエズス会難民サービスは、50カ国に及ぶ国々に展開している。
2001年、ジョージタウン大学の国際移住研究センター客員教授となり、彼が行ってきた難民支援に対しオーストラリア勲章が叙せられた。また、彼の人権向上へのコミットメントが評価され、オーストラリア国際開発評議員会より2004年人権アワードを受賞した。 
2002年12月から2008年7月までオーストラリア及びニュージーランド・イエズス会管区長を務め、オーストラリアカトリック宗教団体会議会長職にあった。

【Fr. Francisco de Roux SJ(フランシスコ・デ・ルー)】

フランシスコ・デ・ルー氏は、コロンビアの人権運動家。経済学者でありイエズス会士で、人々からは「パチョ」の愛称で親しまれている。長年ボゴタ市の社会問題研究機関である「民衆教育・研究センター」の所長を務めたのち、左翼ゲリラと準軍事組織の抗争が同国で最も激しいとされるマグダレーナ・メディオ地域(マグダレーナ河中流域)の人権と貧困問題に取り組むことになった。中心都市バランカベルメッハ)には、国営石油会社の大型精油所がありながら、人々は貧困と武装闘争の脅威のただ中で生活をしている。デ・ルー氏は、「マグダレーナ・メディオ開発と和平プログラム(PDPMM)」という自立型地域開発プログラムを推進するNGOを立ち上げ、1995年よりその代表を務めている。その活動方針は、地域社会を構成するすべてのアクターが大切であるという点にある。人権活動グループや労働組合、地方自治政府に限らず、都市住民、農民、漁民の一人一人のイニシアティブが大切である。この基本的考え方が90にも及ぶ社会開発・生産活動プロジェクトを育ててきた。デ・ルー氏のめざすのは「コミュニティ中心の開発」であり、「経済開発を通じての暴力の克服」である。PDPMMの活動は、世界銀行、国連開発プログラムならびに欧州連合などの国際支援も受けている。
2001年、デ・ルー氏とその同僚たちにコロンビア平和賞が贈られた。その後コロンビアのハベリアナ大学学長を務め、現在はイエズス会コロンビア管区管区長。