<高校生によるグループ発表> 宮城県仙台二華高等学校
「カンボジア農村部における教育とトイレの課題解決に向けた研究」
Group Presentation by the Students of Miyagi Prefectural Sendai Nika Senior High School:
“Research for Solving Problems of Education and Toilets in Rural Cambodia”
趣旨説明 秋塲聡(AKIBA Satoshi)
1. 東海林佑(TOKAIRIN Yu)
「教員不足のカンボジア農村部の英語教育を発展させるにはどうすればよいか」
“How Can We Develop English Education in the Face of Teacher Shortages in Rural Cambodia?
(発表要旨)
カンボジアの教育は内戦の影響もあり、今なお発展途上にある。特に、農村部での教員不足の問題は深刻である。本研究のフィールドとしたバイヨン中学校・高校では英語教員が不足しており、現地調査の結果、英語の学習機会が少ないために成績が著しく低いと考えられる状態であった。そこで、生徒の学力の向上と、教員が少ない労力でより効果的な授業を行えるようになることを目指し、本研究では英単語帳アプリの活用を提案する。英語の語彙力と読解力の間には一定の相互関係があり、一方が高くなれば、もう一方も伸びやすくなることが明らかとなっている。オフラインのスマホアプリの活用によって、学習に対する意欲が高い生徒の学習機会を補うことができるのに加えて、生徒の学習データを収集し、まとめることによって教員が少ない時間で生徒の学力を把握し、授業に生かせるようになると考えられる。
2. 佐藤若葉(SATO Wakaba)「バイヨン中学校・高校における自主学習の推進について」
“Promoting Self-directed Studies among Students at Bayon High School”
(発表要旨)
本研究では、カンボジアの農村部の生徒の学力向上を目的に、シェムリアップ州アンコールクラウ村に位置するバイヨン中学校・高校をフィールドに研究を進めてきた。現在カンボジアの農村部では教員不足が問題となっているが、バイヨン中高でも教員不足の問題は深刻である。2022年12月に実施したフィールドワークの結果から、学習機会を補うために村では塾が開校されていることが分かったが、通っている生徒は半数程度にとどまった一方、生徒の高い学習意欲もうかがえた。また、アンケート結果より、生徒の学習時間は一日平均1時間半ほどで、スマホの使用も身近になっていることが分かった。
学力向上を図るためには、学習時間の確保が必要不可欠である。本研究では生徒の自主学習に着目し、村に生徒が自由に使用できる自習スペースの導入を提案する。
3. 菅井七海(SUGAI Nanami)「バイヨン中学校における有効的な学習」
“Effective Learning Methods at Bayon Junior High School”
(発表要旨)
カンボジアではポル・ポト政権による知識人の虐殺が行われてからたくさんの教育問題を抱えている。カンボジアにあるバイヨン中学校では教員不足や生徒の学力の低下が問題となっている。そこで教師の負担を最小限にしつつ生徒たちが楽しく学力を上げることのできる学習方法はないかと考えた。教師の負担を減らし生徒が「やりたい」と思える形の授業スタイルであるアクティブラーニングの効果を考察し、バイヨン中学校で行われているペア学習、モニターやEラーニングを使用した授業スタイルとうまく融合した学習方法を提案する。そして新たな授業スタイルを提案することで二つの問題である教師不足と学力低下を改善したいと考えています。
4. 中野結佳(NAKANO Yuika)「バガスを用いたエコ容器を滑らかに加工する」
“A Proposal to Smoothen the Surface of Biodegradable Container Made from Bagasse”
(発表要旨)
カンボジアにあるバイヨン高校には、生徒1,000人に対し教員が13名しかおらず、深刻な教師不足が問題となっています。その問題を解決するための1つの方法として、現地で親しまれているサトウキビジュースを絞ったときにできる搾りかすであるバガスを利用したエコ容器を作成し、それを販売することで学校の資金不足の解消、および教員の確保を目指すことを検討しています。
3年ぶりに実施したバイヨン高校でのフィールドワークでは、サトウキビジュースの屋台が高校の敷地内にあること、バガスはそのまま廃棄していることが確認できました。本研究では、作成したエコ容器の表面をより滑らかなものにする加工を検討し、また、完成した容器を用いて資金を得る方法について、実際に計算し、可能性を探りました。
5. 郷家薫(GOKE Kaoru)「大腸菌死滅に有効なエコサントイレの素材の検討」
“Investigation of Effective Eco-san Toilet Materials for Sterilization of E. coli”
(発表要旨)
カンボジアのアンコールクラウ村やその周辺地域では上下水道が整備されておらず、下水道を必要としないトイレが必要である。本校の先行研究では、現地に設置するトイレとしてエコサントイレを検討し、このトイレにおいて糞便にかけるものとして灰のみを想定した研究が行われてきた。しかし、現地の全家庭が十分な量の灰を入手できるとは限らない。そのため本研究では、灰の代替物もしくは灰と混合してエコサントイレに使える素材として、おがくず、砂、もみ殻、石灰の4つの素材について調査し、灰も含めて比較した。比較の観点は、吸水率、馬糞と混合した際の大腸菌数減少量、現地住民にとっての入手のしやすさである。各素材の吸水量の比較実験、素材それぞれを馬糞と混合した際の大腸菌減少率の比較実験、アンコールクラウ村などでのインタビュー調査を行いデータを集めた。