2013年9月6日

9/14 第6回プノンペン部会、発表要旨2

貝塚 乃梨子(王立プノンペン大学客員研究員)

「1993年体制下カンボジアのナショナル・アイデンティティ形成:初等社会科教育の分析を中心に」

 本研究は、1993年体制下のカンボジアにおけるナショナル・アイデンティティ形成を初等社会科教育の側面から明らかにすることを目的とする。カンボジアの社会科教育は1995年の教育改革で誕生し、自文化の教授を通じたナショナル・アイデンティティの育成を目的として掲げている。社会科教育が成立した背景には、1980年代の社会主義教育からの脱却と、政治体制の移行に伴う新たな教育の必要性があった。とりわけ、1990年代は長年の内戦によって崩壊したナショナル・アイデンティティの育成を、2000年代には著しい経済成長とグローバル化の波に合わせたナショナル・アイデンティティの育成が必要とされてきた。では、カンボジア政府は、現在に至るまでカンボジア人が学ぶべきナショナル・アイデンティティを教科書でどのように記述してきたのであろうか。

 本報告では、中間報告として1993年以降に教育省が行った2度のカリキュラム改革(1995年、2006年)に着目し、初等社会科教科書における記述内容の変容を2013年2月に上智大学大学院へ提出した修士論文に基づき報告する。これを踏まえ、今後のフィールド調査計画について述べたい。

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