東南アジア学会、関東例会1月例会(1月28日開催)の案内をお送りいたします。
今回は関本紀子会員による「植民地期におけるベトナム度量衡統一政策の進展と地域性」、及び久保真紀子会員による「プレア・カーン(アンコール)における出入口装飾の主題とその配置構成について」の2報告です。詳細は下記をご覧ください。多くの方々のご来場をお待ちしております。
<2011年度1月例会>
日時: 2011年1月28日(土)13:30~17:45
会場: 東京外国語大学・本郷サテライト5階セミナースペース
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html
☆ 第一報告(13時30分~15時30分)
報告者: 関本紀子氏(東京外国語大学大学院 日本学術振興会特別研究員PD)
コメンテーター:未定
報告題:「植民地期におけるベトナム度量衡統一政策の進展と地域性」
<報告要旨>
仏領インドシナ連邦では、フランス植民地政権によりメートル系度量衡制度が導入され、法令によって規定されていたにもかかわらず、各地において現地固有の制度が植民地期後半に至っても維持されていた。
本報告の目的は、植民統治によって変容するベトナム社会に、根強く地域の個性が存続していた事象を、その背景と共に明らかにすることである。この問題を、仏領インドシナ政権の度量衡統一政策と北部ベトナム各省における実態を通じて検討する。
ベトナムの度量衡研究は、各時期各地域で用いられた制度があまりに多様なため、研究が困難であったが、客観的に相互比較の可能な均質的史料に基づいた研究により、この問題に取り組みたい。
その均質的史料として、トンキン理事長官および北部各省が作成した度量衡関係の行政文書を使用する。この文書分析作業によって北部各省における度量衡政策の進展と運用の実態、統一が実現できなかった背景を、時系列変化を通じて総合的に検討する。
☆第二報告(15時45分~17時45分)
報告者:久保真紀子氏 (日本学術振興会特別研究員)
コメンテーター:浅井和春先生(青山学院大学文学部史学科)
報告題:「プレア・カーン(アンコール)における出入口装飾の主題とその配置構成について」
<報告要旨>
アンコール期のクメール石造寺院建築では、動植物をモチーフにした文様や神話の場面等の浮彫装飾が、伽藍を形成する各建造物を豊かに飾っている。なかでも出入口に施された装飾には、ヒンドゥー教の神話や叙事詩、仏伝やジャータカ、あるいは世俗的な場面を主題とした説話的なモチーフが表現される。これらの説話的モチーフは、伽藍内の各建造物に開口された出入口の場所と密接に関係しており、何らかの意図のもと計画的に配置された可能性がある。
ジャヤヴァルマン7世(1181年‐13世紀初)統治期の建造とされるプレア・カーン遺跡では、寺院の創建時に奉納された石柱碑文が発見されている。この碑文には、寺院創建時、どの建造物にどういった神々が何体祀られたかを記述した個所がある。
本報告では、プレア・カーン遺跡の出入口装飾に表わされた説話的モチーフに着目し、その主題を同定する。そして、それらの寺院伽藍内における配置構成について考察し、石柱碑文の記述内容との整合性を検証する。
下記の関東例会のブログにて、過去の例会の議事録及び今後の例会の案内を掲載しておりますので、ぜひご参照ください。
http://kantoreikai.blog.fc2.com/
青山 亨(東南アジア学会理事・関東地区担当、東京外国語大学東南アジア課程)
(連絡先) kanto-reikai[atmark]tufs.ac.jp