東南アジア考古学会で文化遺産に関するワークショップを開催いたしますので次の通りご案内いたします。多くの方々によるご参加をお待ちしております。また、興味のある方にお知らせいただければ幸いです。
第223回東南アジア考古学会月例会・ワークショップ
「文化遺産の研究と保存:研究者による文化遺産保存活動の実践とその可能性」
東南アジアの前近代研究では、それぞれの専門「だけ」に専心し、対象地域の現代的諸問題に眼を瞑りながら研究を行うことは希であるといって良い でしょう。特に、目に見える、形のある「文化遺産」の研究に携われば、程度の差こそあれ、対象とする遺跡や遺物に関する「いま」の問題を避けて通 ることは出来ません。
例えば政治の領域と不可分な、文化の「領有」をめぐる諸問題から、現存する遺跡の破壊や盗掘対策、あるいは文化遺産教育まで、遺跡を巡る「い ま」の問題の次元は様々であり、人的資源の限られている東南アジアの文化遺産研究では、一人の研究者が自らの研究テーマ以外の現代的諸問題に積極 的に取り組む例は珍しくありません。
実際、東南アジアにおける文化遺産研究に携わる人間の多くは、その保存・保護活動にかなりの時間を割かざるを得ません。しかし、社会学・政治 学・経済学的観点で「外側」から文化遺産を語るのではなく、常に「現場」にたち続け、文化遺産の「内側」から保存活動の実践を続ける研究者は、急 務の課題が多い為に時間的余裕を持つことが難しく、そのため自らが携わる保護活動を批判的に検討する機会や、他地域での取り組みと比較検討しなが ら方法論を構築する機会にあまり恵まれておりません。
そこで今回のワークショップでは、東南アジアでの文化遺産の調査研究と保存活動に取り組んでいらっしゃる担当者の方々をお招きし、それぞれの活 動をご紹介いただくとともに、問題点や方法論を討議することで研究者による文化遺産保存活動の可能性を探ります。
日時 2013年3月30日 13:00?18:00
場所 昭和女子大学 研究館7階L02教室
プログラム
1.趣旨説明
2.「ハノイ・タンロン皇城遺跡保存ユネスコ日本信託基金事業の実施状況」
友田正彦(独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター保存計画研究室長)
3.「アンコール遺跡群・西トップ遺跡における調査と修復」
杉山洋(独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 都城発掘調査部副部長)
4.「カンボジアにおけるユネスコ世界遺産および登録申請サイトにおける保全活動:アンコール遺跡(バイヨン寺院),プレア・ヴィヘア遺跡,サン ボー・プレイ・クック遺跡」
下田一太(早稲田大学 客員講師、日本国政府アンコール遺跡救済チーム技術顧問)
5.「アンコール・ワット西参道、バンテアイ・クデイ寺院の保存修復と文化遺産教育」
田畑幸嗣(上智大学短期大学部非常勤講師)
6.討論
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