2014年5月12日

5/24 東南アジア学会、関東例会

2014年度第2回関東例会・5月例会のご案内を致します。

今回は、松浦史明会員による「アンコールの彫像にみる個人崇拝とその展開――刻文史料の検討から」および、久志本裕子会員による「現代マレーシアと周辺諸国におけるイスラーム学習とスーフィズム:イスラーム学習の変容と新たな超域ネットワークの形成」の2報告です。

詳細は下記をご覧下さい。多くの方々のご来場をお待ちしております。

<2014年度5月例会>
日時:2014年5月24日(土)13:30~17:45
会場:東京外国語大学・本郷サテライト5階セミナースペース(※ 前回は4階でしたが、今回は5階です。ご注意下さい)
http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html

☆第一報告(13:30~15:30)
報告者:松浦史明氏(上智大学/日本学術振興会特別研究員PD)
コメンテーター:肥塚隆先生(大阪大学名誉教授)

報告題:「アンコールの彫像にみる個人崇拝とその展開――刻文史料の検討から」

<報告要旨>

アンコール・ワットに代表されるいわゆるクメール様式の建築物群を遺したアンコールは、主に9~14世紀の東南アジア大陸部に一大勢力を築いたとされる。しかし、アンコール史の主要な文字史料は宗教施設・儀礼の付随物としての刻文史料に限られるため、その統治のあり方についても王の神聖性を核とした神権政治的な文脈で理解されてきた。
「アンコール最後の大王」として知られるジャヤヴァルマン7世の時代(1181~1214年頃)に王の「肖像」が造像・安置されたという定説は、王を崇拝対象とするアンコールの権力概念についてのキー・イメージを提供している。
本報告では、刻文史料にみられる造像の事例を検討し、彫像を含む崇拝対象物に人間性を込める伝統とその展開を明らかにする。特に、古クメール語刻文にみられる個人の「ルーパ(彫像、姿)」を造像する事例に焦点をあて、個人崇拝が王のみに与えられた特権ではなかったことを明らかにするとともに、キー・イメージとしてのジャヤヴァルマン7世時代の特異性を指摘する。

☆第二報告(15:45~17:45)
報告者:久志本裕子氏(上智大学、日本学術振興会特別研究員RPD)
コメンテーター:長津一史先生(東洋大学社会学部准教授)

報告題:「現代マレーシアと周辺諸国におけるイスラーム学習とスーフィズム:イスラーム学習の変容と新たな超域ネットワークの形成」

<報告要旨>

マレーシアの伝統的イスラーム学習は、中東と東南アジアをつなぐ師弟関係のネットワークを通じて形成されてきた。この師弟関係と学習のネットワークにおいて、イスラームの内面的、精神的側面を伝えるスーフィズムは重要な位置づけを与えられていた。しかし、近代的学校教育の普及とイスラーム学習のあり方の変容に伴い、師弟関係のネットワークは弱体化し、スーフィズムもまた周縁化していった。ところが近年のマレーシアでは、特に都市部においてスーフィズムへの関心の高まりや、新たな師弟関係のネットワークの構築が見られる。本発表では、近年急速に活発化している、マレー世界のアラブ系学者を中心とするスーフィズム関連活動を主な事例として、現代のマレーシアでイスラーム知識がどのような形で求められ、伝えられているのかを、制度的宗教教育とは異なる視点から明らかにする。

終了後、懇親会を用意しております。